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トヨタ、WRC 2018年マニュファクチャラーズタイトル獲得

「18年ぶりに復帰し、2年目の挑戦にしてこんなにも素晴らしい結果」と豊田章男氏

2018年11月15日~18日(現地時間)開催

WRC 第13戦 ラリー・オーストラリアでヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #7号車)が今季初優勝

 11月15日~18日(現地時間)にオーストラリアで開催されたWRC(FIA世界ラリー選手権)のシーズン最終戦「第13戦 ラリー・オーストラリア」で、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(トヨタ自動車)のヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #7号車)が今季初優勝。同チームのエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(ヤリスWRC #9号車)も総合4位でフィニッシュした結果、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamが2018年シーズンのWRC マニュファクチャラーズタイトルを獲得した。

 シーズン最終戦前の時点で、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamはマニュファクチャラー選手権でトップ。ドライバー選手権でもオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)がランキング1位と23ポイント差の3位という状況で最終戦に臨んだ。

 タナック/ヤルヴェオヤ組はデイ2終了時点までトップに立っていたものの、デイ3のSS22でコースアウトした時にマシンが木に接触。競技続行不可能でリタイアとなった。一方、ラトバラ/アンティラ組はSS19、SS22、SS23でベストタイムを記録してシーズン初優勝を達成。また、ラッピ/フェルム組もSS21でベストタイムを記録して総合4位を獲得している。

 この第13戦の結果、ドライバーズタイトルではタナック選手が3位、ラトバラ選手が4位、ラッピ選手が5位を獲得している。

優勝したヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #7号車)の走り
エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(ヤリスWRC #9号車)もSS21でベストタイムを記録して総合4位
ドライバー選手権3位からの逆転優勝を目指したオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)だが、SS22でリタイアに終わった
WRC 第13戦 ラリー・オーストラリアで走行するヤリスWRC
ラトバラ/アンティラ組のシーズン初優勝とマニュファクチャラーズタイトル獲得を祝い、喜びを爆発させるTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのスタッフ

 この一報を受け、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのチーム総代表を務める豊田章男氏は以下のようなコメントを発表している。


 ラトバラ選手、アンティラ選手、ラリー・オーストラリア優勝おめでとう! 苦しんだ今シーズン、最後にポディウムの頂点に立つ姿を見ることができて、本当に嬉しかった。そして、その勝利でTOYOTA GAZOO Racing WRTのマニュファクチャラーズタイトルが決まりました。

 FIA世界ラリー選手権へ18年ぶりに復帰し、2年目の挑戦にしてこんなにも素晴らしい結果を得られたこと、チームの総代表として最高の気持ちです! この栄冠を勝ち取るためにヤリスを強くし続けてきたトミ・マキネンと、彼を支えてきた全てのチームメンバー、そして、そのヤリスを何があってもゴールまで走らせ続けてくれた6人のドライバー、コ・ドライバー達に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとう! そして、おめでとう!

 声援を送り続けてくださったファンの方々、心ひとつに戦ってきてくださったパートナーの皆さまともこの喜びを分かち合えたこと、本当に嬉しく思います。支えていただき、ありがとうございました。

 この挑戦が始まる時、トミやメンバー達と“約束”したのは「自分たちは“負け嫌い”だ。一緒に勝利を手にしよう!」「そのために、常に“今のヤリス”が一番強くなっているようにしよう!」ということだけでした。走りきれなかった道、苦しめられた道を、もっと気持ちよく走るためにはどうしたらいいか? チームは常に、これを考え、日々改善を続けてくれました。

 そうして“昨日のヤリスより今日のヤリスがもっといいクルマになる”ということを実践してくれたからこそ、今回の結果が得られたのだと思います。そして、このトミ達との“約束”は、今回の勝利で終わるものではありません。「もっと乗り続けていたい」「もっと攻めてみたい」と世界各地の道で、ドライバー達にそう言ってもらえるヤリスになるようこれからもチーム全員で学び続けて参ります。そして、トヨタ自動車は、ここで得た学びをお客さまにいち早くお届けできるよう、努力して参ります。

 皆さま、来シーズンも引き続き、応援よろしくお願いいたします。


 このほか、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team チーム代表 トミ・マキネン氏と3人のドライバーによるコメントは以下のとおり。

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team チーム代表 トミ・マキネン氏

 本当に信じられない気分です。私の記憶にある中で、もっとも大変な最終戦でした。フィニッシュまであと少しというところでオットがリタイアとなってしまったのは非常に残念です。

 しかし、ヤリ-マティが再び勝ってくれたのはとても素晴らしい事です。また、エサペッカはポイントを獲得し、タイトルに貢献してくれました。われわれはこのプロジェクトを3年半前に始めましたが、想像以上にはやく進化を遂げたと思います。

 去年われわれはこのラリーで多くを学び、データを収集しました。そして、今シーズンの後半はクルマを大きく進化させる事ができました。タイトルの獲得は、チーム全員の多大なる努力によって成し遂げられました。そして、この成功により2019年に向けて彼らの開発に対するモチベーションはさらに高まると確信しています。

ヤリ-マティ・ラトバラ選手(ヤリスWRC #7号車)

 再び勝利を手にする事ができて本当に嬉しく思います。久しぶりの優勝にホッとしました。今日のコンディションは非常に困難で、いとも簡単にコースオフしてしまうような状況でした。自分は思い通りの結果が得られましたが、オットがあのような事になってしまったのは残念です。

 最終ステージのスタート前は非常に興奮していましたし、神経質になっていましたが、マニュファクチャラーズタイトルを獲得できて、本当に素晴らしい気分です。チーム、そして彼らが作りあげたものを心から誇りに思います。全員の努力と懸命な働きが報われたといえるでしょう。

オット・タナック選手(ヤリスWRC #8号車)

 素晴らしい仕事を成し遂げた、チームの全スタッフを祝福したいと思います。選手権最強のクルマを運転し、最高の人々と一緒に戦えた事を嬉しく思います。1年を通して凄い戦いが続き、われわれは常にベストを尽くしてきました。今日は非常に泥が多いトリッキーな路面でコースを外れてしまいました。私自身はこのような形でラリーが終わってしまい残念ですが、結果的に両選手権に大きな影響は及ぼさなかったと思います。今シーズンの自分達の戦いには満足していますし、来年も攻めの姿勢で臨むつもりです。

エサペッカ・ラッピ選手(ヤリスWRC #9号車)

 今日のコンディションは非常にトリッキーで、運転を心から楽しむ事はできませんでした。今シーズンの中でもっとも大変な1日だったかもしれません。チームのマニュファクチャラーズタイトル獲得に貢献してシーズンを終えられたのは、私のキャリアにとってとてもよい事です。本当は優勝したかったのですが、自分のペースを取り戻せたのはよかったと思います。私達を支えてくれたチームの全員に感謝します。