最強バスケ日本、「ビッグ3」でW杯に挑む
中国で31日開幕
バスケットボール男子のワールドカップ(W杯)が31日、中国で開幕する。13年ぶり出場の日本の中心となるのは、米プロNBAウィザーズの八村、帰化選手のファジーカス(川崎)、昨季グリズリーズからNBAデビューした渡辺雄の「ビッグ3」だ。ゴール下での高さや強さといった、かつての弱点を補って余りある3人を生かしつつ、磨いてきた攻守の切り替えの速さで世界を驚かすことができるか。
世界ランキング48位の日本は1次リーグE組で17位のトルコ、24位のチェコ、1位で大会2連覇中の米国と順に対戦する。日本は過去にW杯で米国や欧州のチームに勝ったことがなく、ラマス・ヘッドコーチ(HC)は「ヨーロッパのチームに1勝するため、集中して準備したい」と話す。
戦力は整ってきた。203センチ、102キロの八村は海外勢にも負けないパワーと運動能力、シュート力を備える。12日のニュージーランドとの強化試合では中、外と自在に攻めて35得点。「攻撃でも守備でもインパクトを与えられるプレーをしたい」との言葉通り、21歳にして大黒柱の貫禄が漂う。
「日本は八村のチーム。対策されてもプレーできないと、上に行けないと最初に伝えた」と話すのは、NBA経験もあるファジーカス。210センチの長身を生かしたポストプレーで八村と共にゴール下で起点となる。外一辺倒で苦しんできた日本の攻めに抜群の安定感をもたらしている。
206センチの渡辺雄を含む3人が並べば、最大の弱点だったリバウンドでも互角の戦いに持ち込めそう。八村と渡辺雄は自らリバウンドを拾って走れる機動力があり、日本はチームとしても自陣からの速攻を常に狙う。外角シュートも得意な3人が流動し、空いたスペースにシューティングガード(SG)の比江島(宇都宮)らが切り込む。人とボールが素早く動く多彩な攻めで、相手を崩していきたい。
W杯予選で「ビッグ3」の同時出場はなく、渡辺雄は今月上旬の合宿での右足首捻挫から回復途上だ。14日のニュージーランドとの強化試合に約10分間出場して初のそろい踏みとなったが、本番までにより多くの実戦を経験したいところだ。
司令塔のポイントガード(PG)も予選と変わる。身長167センチで抜群のスピードがあったエース富樫(千葉)が右手指を骨折して離脱。痛手だが、ラマスHCはベテランの篠山(川崎)ら本職のほか、普段はSGの田中(A東京)の起用を以前から考えていたという。W杯の対戦相手には2メートル近いPGもおり、192センチあって守備がうまい田中に代役以上の活躍を期待している。
現在16人の候補がいる代表チームのうち、W杯のコートに立てるのは12人。3試合が残る強化試合は「ビッグ3」を軸としたチームづくりの最終工程であり、生き残りがかかる選手にとってはアピールの場になる。
(鱸正人)
1次リーグは4チーム総当たりで、上位2チームが2次リーグに進む。近年の日本は21年前に自力出場した1998年ギリシャ大会で16チーム中14位。自国開催の2006年大会も1次リーグ1勝4敗で敗退している。