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クラシック音楽は素敵だ!!

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グリエール:交響曲第1番

<知られざる名交響曲・3>



「知られざる名交響曲」シリーズ三曲目は、ロシアのグリエール:交響曲第1番を取り上げてみたい。




グリエール:交響曲第1番
グンゼンハウザー指揮/スロヴァキア・フィル   1985年録音



ラインホルト・グリエール(1875-1956)はなかなか面白い経歴の持ち主だ。アレンスキーやイポリッド・イワーノフらに作曲を習っただけあって作風は思いっきりロシア・ロマン派どっぷりの超保守派。普通こういう作風の御仁はスターリン同志の粛清を免れないはずなのだが、どっこいこの人はきちんと勲章も受けてスターリン時代を生き抜いているのだ。

 革命が勃発した1914年当時すでにキーロフ音楽院の楽長という要職(旧体制派)にあったのに、すぐに人民教育モスクワ支部音楽部長に転身し、その後ソ連邦作曲家組合会長を務め、「人民の芸術家」賞も受賞している。なんとも素早い!

 1926年のバレエ「赤いケシ」や1949年の「青銅の騎士」は特に有名で、これらの作品によって無事粛清から免れたようだ。ショスタコーヴィチのような反抗的な態度も作品も書かず、「ヒトラーの終わりは必ずくる」などという行進曲も書いたらしいから彼も必死だったのだろう。

 ソ連時代の作曲家達の交響曲はもう殆ど聴く気になれないウルトラ駄作が多いが、グリエールの三曲の交響曲は1912年までに作曲し終わっていたため革命の影響は受けておらず、ロシア・ロマン派の濃厚な香り漂う佳品揃いだ。

 一般的には交響曲第3番「イリヤ・ムーロメッツ」が有名でディスクは多いが、ここは「知られざる」名曲がモットーなので第一番をご紹介する。

 この作品はグリエールがまだモスクワ音楽院の学生だった1900年に書かれたもので、とにかく若書きの爽やかさが魅力。印象的で晴れやかな開始、生き生きとして飛び跳ねるような第二楽章、ロシアっぽい叙情的な第三楽章。終楽章はもちろん思いっきり壮快に終わる。爽やかな風が吹き抜けていったような音楽である。

 いわゆる深刻さや哲学的な意味づけは全く感じられないし、彼の弟子であったプロコフィエフのような斬新さも全くないが、ロマン派の古き良き交響曲のお手本のような曲、と思って頂ければいいだろう。このディスクは現在NAXOSから表紙を変えて出ていると思うので、もし機会があれば是非聴いてみて頂きたい。


こちらの演奏もあります



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