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Microsoft、なぜTikTok買収? クラウド・広告に期待

(更新)
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【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトが中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を買収する交渉に乗り出した。事業領域の異なる両社の組み合わせはにわかに理解しにくい。トランプ米大統領まで介入する異例のM&A(合併・買収)のポイントをQ&A形式でまとめた。

Q1.そもそも「ティックトック」とは?

A.「ティックトック」は15秒~1分程度の短い動画を作成、投稿できるSNS(交流サイト)だ。曲に合わせて踊るダンス動画で人気を博し、世界中の若者に広がった。米調査会社のワラルーメディアによれば、月に1回以上ティックトックを使う「月あたりアクティブユーザー数(MAU)」は世界で8億人、米国だけで8500万人にのぼる。利用者の6割が2000年代以降に生まれた「Z世代」とみられる。

ティックトックは16年に中国のインターネット企業、北京字節跳動科技(バイトダンス)が始めた。同社は17年に、米国で動画投稿アプリを提供していた米ミュージカリーを買収した。そのため、現在も「中国版」とミュージカリーの流れをくむ「国際版」が併存する。米国の事業会社はロサンゼルス郊外にあり、社名もティックトックだ。

Q2.なぜ買収交渉がスタートした?

A.中国発のアプリに対する安全保障上の懸念が発端だ。米議会はかねてティックトックについて「利用者情報が中国共産党に渡りかねない」と指摘し、7月にはポンペオ米国務長官が米国内での利用禁止を検討していると明らかにした。ただティックトックは米国でも8500万人が使う人気アプリ。突然禁止すれば11月の大統領選を前に若い有権者の反発を招くため、米国事業を売却させて安全性を確保するという案が浮上した。

Q3.マイクロソフトが名乗りを上げた背景は?

トランプ大統領は「大企業で、安全な企業、米国らしい企業」を買い手の条件として挙げる。そのうえで、大規模なネットサービスの運営経験があり、数兆円とみられる買収額を払える企業である必要がある。

米企業で相乗効果が大きいのはフェイスブックだが、同社は7月29日にも米議会の公聴会で反競争的な行為について追及を受けたばかり。SNS企業による買収が認められる可能性は極めて低く、候補から外れる。同じ公聴会にはアップルとグーグル、アマゾン・ドット・コムも呼ばれており、各社とも身動きは取りにくい。

ティックトックの現最高経営責任者(CEO)の出身母体であるウォルト・ディズニーを挙げる向きもあったが、同社は新型コロナウイルスの影響で本業が大打撃を受けている。投資余力が乏しく、やはり候補になりづらい。

そんななか、マイクロソフトはIT大手の一角を占めつつも消費者向けサービスの買収で反トラスト法(独占禁止法)に触れるリスクは低い。6月末時点で1365億ドル(約14兆4100億円)の手元資金があり、買収費用も賄える。同社のサティア・ナデラCEOは8月2日にトランプ大統領と協議。その直後に、買収交渉を公に認めた。

Q4.買収の枠組みは?

A.マイクロソフトがバイトダンスに買収提案しているのは「国際版」のうち米国とカナダ、ニュージーランド、オーストラリアの事業だ。これらの国は機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」の面々でもある。発表内容を見る限り、日本事業は買収対象ではない。

マイクロソフトは買収に際し「セキュリティー面を徹底して調べる」と表明している。特に米国外に利用者データが保存されている場合には、国内に戻した後に国外のサーバーからデータを削除するという。他の米国の投資家に少数株主として加わってもらう可能性にも言及している。

Q5.買収額はいくらか?

A.米調査会社CBインサイツによれば、バイトダンスの企業価値は1400億ドル(約14兆8000億円)。このうち「ティックトック」の米国事業がどの程度の価値を持つかが焦点となる。さらに、トランプ大統領は「9月15日までに売却しなければ利用禁止だ」とバイトダンス側に迫っている。売り手側に焦りがあるため、マイクロソフトは有利な条件で交渉を進められる可能性が高い。

広告が収益の柱となるSNSでは、利用者の数が企業価値をはかる目安となる。例えばフェイスブックの場合、グループのアプリを1日1回以上使う「日あたりアクティブユーザー数(DAU)」は6月末時点で24億人、MAUは31億人を超える。同社の時価総額は7100億ドルだ。米ツイッターはDAUが1億8600万人で、時価総額は290億ドルだ。

ティックトックの米事業のMAUは8500万人程度。他社の状況などを参考に、株式市場では100億~300億ドル規模のM&Aになるとの見方が広がっている。

Q6.買収する価値はあるか?

A.マイクロソフトが買収対象として挙げたのは、いずれも広告単価が高い地域の事業だ。例えばフェイスブックの場合、20年4~6月期の利用者1人あたりの広告収入は世界平均6.91ドルに対し、米国・カナダは35.58ドルと5倍以上だった。ティックトックの米事業は現状赤字とみられるが、利用者が増えているため今後は広告収入を通じた投資回収を見込みやすい。

Q7.事業面の相乗効果はあるか?

A.マイクロソフトは20年6月期通期の売上高が1430億ドルにのぼり、業務ソフトの「オフィス」やクラウド基盤の「アジュール」など様々な事業を手掛けている。ただ、ほとんどは企業向けのサービスで、ティックトックとの関連は薄い。「Xbox」として知られるゲーム事業との連携を予想する声はあるものの、すぐに相乗効果を見込めるわけではなさそうだ。

一方で、インフラ面では買収のメリットを出しやすい。ティックトックは現状、IT基盤としてグーグルのクラウドを利用している。これをマイクロソフト製に切り替えやすくなる。若年層のブランド認知の向上を期待する声もある。

Q8.マイクロソフトは買収後にうまく運営できるか?

A.過去の大型買収は必ずしもうまくいっていない。失敗の代表例が72億ドルを投じて、フィンランドのノキアから14年に取得した携帯電話事業だ。「マイクロソフト」のブランドを冠して端末を販売したが、スマートフォン市場でシェアを取れず、赤字のまま撤退に追い込まれた。米グーグルに対抗するため07年に63億ドルで買収したネット広告会社の米アクアンティブも、期待した収益を上げられずほぼ全額分を減損処理した。

一方で、14年に就任したナデラCEOが指揮する最近のM&Aは毛色が異なる。ビジネスSNSの米リンクトイン(16年、262億ドル)やIT開発者支援の米ギットハブ(18年、75億ドル)などを手掛けたが、いずれも買収後の統合を急いでいない。ギットハブの幹部は「マイクロソフトからの独立運営を続ける」と話し、最近も自社イベントにアマゾン・ドット・コムのクラウド関係者を招いた。

買収先の「自主性」を尊重することでユーザー離れを防ぎつつ、明確なメリットがある点だけ連携するのがナデラ流M&Aの特徴といえる。ティックトックも同様のかじ取りをするとみられる。

Q9.利用者や競合の反応は?

A.今のところ、最終的に「利用禁止」を回避できるかどうかを気にかけている利用者が多いようだ。一方で、米調査会社センサータワーによると、ティックトックの類似アプリを手掛ける「Triller(スリラー)」や「Byte(バイト)」のダウンロード数は7月末から急増している。フェイスブック傘下の「インスタグラム」も競合サービスを打ち出すなど、買収をめぐる騒動に乗じて、ティックトックから利用者を奪おうとしている競合は少なくない。

Q10.今後の焦点は?

A.トランプ大統領が期限と定める9月15日までに両社が交渉を進めていく見込みだ。もっとも、トランプ大統領が「価格の大部分が米財務省(の国庫)に入るべき」と発言したり、ナバロ大統領補佐官が「マイクロソフトの中国事業の売却を検討すべき」と指摘したりと政権の介入は多い。中国政府から米政権に近すぎる企業と見なされるリスクもあり、マイクロソフトは買収が成立しない可能性にも言及している。他の買い手候補が名乗りを挙げるかどうかは、現時点では不明だ。

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