シャープから、LEDシーリングライトと一体化した“置き場所に困らない”空気清浄機「天井空清」が誕生しました。照明としても空気清浄機としても本格的な性能となっており、リビングの空間演出も、PM2.5、ウイルス対策も天井空清だけでバッチリできるとのこと。どのような製品なのか、説明会で見てきた詳細をお伝えします。
「天井空清 FP-AT3」の市場想定価格は9万円前後で、2018年1月20日発売予定
中国の大気汚染が深刻化し、日本へのPM2.5の飛来が社会問題となった2012年をピークに、空気清浄機の需要は伸び悩んでいるといいます。しかし、そのいっぽうで清浄機能を強化したエアコンや、抗菌・除菌をうたう商品は増えており、触れるものから空気にいたるまで“キレイ”を望んでいる人が多いことは間違いないといえるでしょう。では、なぜ空気清浄機の普及が進まないのかをシャープが調査したところ、「置き場所をとる」や「電源コードがじゃま」といった理由から見送っている人が多いことがわかりました。そんな課題を解決すべく開発されたのが、今回発表された「天井空清 FP-AT3」(以下、天井空清)です。
構造を簡単に説明すると、空気清浄機能(フィルターとファン、プラズマクラスターイオン発生ユニット)を組み込んだLEDシーリングライトとなります。簡単に製品化できるように思われるかもしれませんが、天井に付けるものだけに安全性などの基準をクリアするのは非常に大変だったとのこと。安全を担保しつつ、高い空気清浄性能と照明性能を両立するのに構想6年、開発2年という長い年月がかかったそうです。
空気清浄機能を搭載しているため、一般的なLEDシーリングライトよりも高さはありますが、実際に天井に付けると圧迫感や違和感はないそうです。サイズは625(直径)×192(高さ)で、重量は7.9kg
天井空清の浄化方法は、シャープの床に置くタイプの空気清浄機と同じです。集じん用のHEPAフィルターで空気の汚れをろ過し、プラズマクラスターイオンを放出して部屋に漂うニオイや付着臭を消臭するとともに、空気中に浮遊するウイルスの作用を抑制。天井空清の空気清浄適用床面積は〜14畳ですが、LED照明とプラズマクラスター適用床面積が約12畳となっているため、天井空清を設置する部屋の適用畳数は〜12畳対応となっています。
リモコンには照明用のボタンのほかに、空気清浄機能のオン/オフ、風量を調整するボタンを搭載。風量を設定せず「オート」の状態にしておくと、センサーでホコリの有無やニオイなどを検知し、室内の状態にあわせ自動で風量が調整されます
空気清浄機能をオンにすると、正面に青いランプが点灯します。また、天面には空気の汚れを光の色で知らせる「きれいモニター」を搭載。見えづらいように感じますが、天井面に反射した光の色で状態を判断できる仕様となっています
空気清浄が始まると内部のファンが稼働し、シーリングライトの中央にあるフロントパネルの部分から室内の空気を吸引。フィルターを通過したキレイな空気は上部側面からプラズマクラスターイオンとともに放出されます
一般的な空気清浄機と同じように、吸い込まれた空気は最初にプレフィルターを通過。ここで大きめのホコリがブロックされるので、内部に侵入することはないといいます。プレフィルターは取り外して水洗いも可能。普段は、気になった時に掃除機などでプレフィルターに付いたホコリを取り除けばOKです
プレフィルターの掃除がめんどうな方のために、「使い捨てプレフィルター」も用意されています(購入時に3枚同梱)。汚れたら取り外して捨て、新しいフィルターを付ければいいだけなので手間が激減。「使い捨てプレフィルター」は約1か月での交換が推奨されており、6枚セットで販売もされています(メーカー希望小売価格は850円/税別)
プレフィルターの奥には、0.3μmの微細な粒子を99.97%以上集じんする静電HEPAフィルターがあります。静電HEPAフィルターは脱臭フィルターと一体化しているので、ニオイもしっかりキャッチ!
なお、静電HEPAフィルターの交換目安は2年となっています(交換用の「集じん(HEPA)・脱臭一体フィルター」のメーカー希望小売価格は4,500円/税別)
プレフィルター→HEPAフィルターでろ過された空気が次に到達するのは、プラズマクラスターイオン発生ユニットが搭載されている部分。「高濃度プラズマクラスター25000」が、キレイになった空気とともに部屋に放出されます
実際に、どのように汚れが浄化されるのかは下の動画でチェックしてみてください。説明会で実施されたデモは狭い空間でしたが、日本電機工業会の規定に基づき算出された清浄時間(8畳相当の部屋で規定の粉塵濃度の汚れが基準値以下になるまでの時間)は19分となっており、清浄性能は同社の一般的な空気清浄機と同等レベルだとのこと。特に、ニオイは天井付近にのぼってから部屋に広がるため、天井で浄化する「天井空清」は素早い消臭が望めるそうです。
空気清浄を行うためにファンが稼働すると運転音が部屋中に響きそうな気がしますが、運転音は最大45dB。静音モードにすると23dBなので、実環境では問題にならないでしょう。実は、この清音性を実現するためにファンを新たに開発。トンボの羽根を応用したネイチャーテクノロジーを採用することで、風量を確保しつつ静かな運転ができるようになったそうです。
天井空清のファンの羽根は、トンボの羽根を模してキザギザな形状となっています。凹んだ部分に空気の渦ができ、その渦が車輪のような役割を果たすことで、空気の流れがスムーズになるそう。摩擦抵抗が少なくなるので、静音性も高められたといいます
ここまで空気清浄機能を紹介してきましたが、本製品はLEDシーリングライトとしても申し分ない性能を有しています。寒色から暖色まで10段階で調色できるほか、シャープ独自の「さくら色」2種類(八重桜とソメイヨシノ)を搭載。さくら色のあかりは気持ちが癒される、目にやさしいという評価を受けている光色なので、くつろぎの空間作りに最適です。
光束は5,000lm。フロントパネルがあるので直下が暗くなりそうな気がしますが、カバーの湾曲を工夫することで配光を調整し、LEDシーリングライトの真下でも明るさは確保できるようしているそうです
寒色から暖色まで10段階で調色でき、明るさも10段階で調光できます。消灯タイマー(30分と60分)と常夜灯も装備。なお、消灯タイマーでは照明はオフになりますが、空気清浄機能は止まりません
「八重桜」「ソメイヨシノ」はLEDシーリングライトのカバー部を見るとキツイ色に見えますが、実際に照らされた光色は非常にやさしいもの
「全灯」→「ソメイヨシノ」→「八重桜」と光色を変え、文字の読みやすさをチェックしてみました(下の動画参照)。まぶしさがないうえに、さくら色の光で印字された文字がくっきり。目にやさしいということが実感できました。
LEDシーリングライトと空気清浄機能はそれぞれ単体で運転できるようになっているので、留守にする時も消灯時もムダな電気代はかかりません。両方を使用したとしても消費電力は1時間あたり8.3〜75Wで、照明を消して空気清浄機の運転のみにすると1時間あたり5〜27Wになります。たとえば、7時に起床して8時に家を出て出勤し、19時に帰宅、23時に就寝する場合の電気代を計算してみると(空気清浄機能は常にオン)、1日あたり約3.76〜約24.02円程度。1か月間で算出すると約117〜約745円となりますが、照明と空気清浄機のトータルの電気代だと考えれば、それほど問題視するほどではないでしょう。