合成メタンの原料となる水素は、それを製造する方法の違いにより、「グリーン(再エネ電力による水電解)」水素や「ブルー(化石燃料由来のCO2を地下貯留等)」水素に区分されるが、将来的には再エネ電力コストの低下に伴い、グリーン水素が主流になると想定されている。
横浜国立大学と日本エネルギー経済研究所は共同で、グリーン水素を前提として、その製造国の違いや水素キャリアの違いによる、合成メタン等の脱炭素燃料の費用を試算している。
試算の前提条件として、合成メタンの製造規模は年間で8.8億Nm3-CH4であり、これは日本の都市ガス消費量の約2.2%に相当する。
試算の対象年は2030年以降の将来としており、水電解に用いる再エネ電力価格は、海外生産ケース1〜7では2.5cent/kWh、国内生産ケース8〜9では6.3cent/kWh、と仮定している。試算には、国内配送費用は含まない。
図6より、水素キャリアの中では「海外アンモニア(直接利用)」が最も低コストであるが、海外合成メタンもそれに次いで低コストであると試算された。
いずれの水素キャリアも、再エネ電力費用とメタン合成プロセス(水電解含む)の設備費が大半を占めることが分かる。
このため感度分析として、海外再エネ単価を0.4cent/kWh、水電解・メタン合成の設備費を半額程度と仮定した場合、海外合成メタンは54〜57円/Nm3-CH4へと低減する。
国は、2050年の合成メタン目標価格を「LNG輸入価格と同水準」としており(2021年当時では40〜50円)、これに近い費用水準となる。
現在、LNG等の化石燃料価格は高騰していることから、合成メタン等の水素キャリアがコスト面でも有利となるケースも生じると考えられる。
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