山形城をCGで“復元” 山形市、デジタルコンテンツ配信へ

2024/03/28 10:51
CGで復元された山形城のVR映像。中央の平屋の建物は本丸御殿(山形市公園緑地課提供)

 山形市は来月から、かつて霞城公園にあった山形城の歴史的建造物をコンピューターグラフィックス(CG)で“復元”し、観光客らが仮想現実(VR)などで楽しめるデジタルコンテンツの配信を開始する。指定されたスポットでスマートフォンアプリを使うと、本丸御殿や櫓(やぐら)などが表示され、往時の雰囲気を味わうことができる。

 山形城は本丸、二ノ丸、三ノ丸を三重の堀と土塁で囲んだ輪郭式の平城で、東北随一の規模を誇る。本丸は御殿のみで当時から天守閣はなかったが、二ノ丸には江戸時代前期まで三階櫓があった。今も残る二ノ丸の堀や土塁、石垣は山形藩主・最上氏の改易後に改修されたと伝わる。

 同公園内に8カ所あるVRポイントでアプリを起動させると、御殿や三階櫓のほか、全国で初めて礎石が見つかった「屏風(びょうぶ)折れ土塀」や本丸北不明(あかず)門など江戸中期の山形城の姿を3次元CGで体験できる。御殿内観や城の全景を見下ろした映像が見られるスポットのほか、スマホをかざすと御殿が実際の風景に存在するかのように現れる拡張現実(AR)スポットもある。アプリは無料でダウンロードできる。

 御殿のCGは、NHK大河ドラマの建築考証や各地の城郭復元などに携わる元昭和女子大学長の平井聖氏が監修し、当時の間取り図や他藩の類似例などを基に再現した。

 公開記念発表会が来月1日午前10時から、同公園内の本丸一文字門前で開かれる。一般市民も参加でき、市職員とVRポイントを巡りながら城内の見どころや歴史を学ぶ。市公園緑地課の担当者は「公園内をくまなく散策し、山形城跡の魅力を再発見してもらいたい」と話している。

 市は1984(昭和59)年に策定した霞城公園整備計画に基づいて山形城跡の整備を進めており、2033年の事業完了を目標に本丸の堀や土塁の復元などを行っている。

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