[目次]

▼ エアを可視化させた「ビジブルエア」。デザインの源はパリの有名複合文化施設

▼ Air Max Day(エアマックス・デー)とは何? レアモデルのリリースも

▼ Air Max Dayの始まりは2014年

▼ Air Max Day 2024の開催日と参加方法は?

▼ Air Max Day 2024に発売されるスニーカー

▼ ちなみに日本で注目すべきは…


特別な存在になると、それぞれ特別な記念日が用意されているものです。例えば長編小説「指輪物語」シリーズなら、その著者であるJ.R.R.トールキンの誕生日1月3日を「トールキン・デイ」として祝われているように。また、ビヨンセなら5月23日が「ビヨンセ・デー」(※編集注:これを制定したのはミネソタ州。同州で初めてビヨンセがパフォーマンスした日が5月23日だったということから公式に「Beyoncé Day」と定められています)、女性飛行士として世界で初めて大西洋横断飛行を成功させたアメリア・イアハートの記念日は、彼女の誕生日の7月24日です。エルヴィス・プレスリーなら命日である8月16日を挟んだ週間を「エルヴィス・ウィーク」に、プリンスなら命日である10月31日のハロウィン当日をファンたちを中心に「ナショナル・プリンス・デー」と呼んでいます。

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そして、「Swoosh(スウッシュ)*1」のトレードマークで37年間にわたり世界中のスニーカーマニアから愛され続けているナイキ「Air Max(エア マックス)*2」にも、記念日があります。それは3月26日です。

これは1987年3月26日に、初代エアマックス「Nike Air Max 1(ナイキ エアマックス 1)」が発売されたことにちなんで、ナイキは2014年より毎年3月26日を「Air Max Day(エアマックス・デー)」とすることに決めます。そして、この日を通じてナイキは多くのAir Maxファンたちとその歴史を祝い、さらなる深いつながりを追求し続けています。

air max
Christian Vierig//Getty Images
写真は10年後に発売された「Air Max 97 OG」。そのデザインはクリスチャン・トレッサー*3によって、彼いわく「池に落ちる水のしずくをイメージしたんだ。Airユニットに向かって広がる放射状の水面のように」仕上げられています。中でも、日本の新幹線からインスピレーションを得たメタリックシルバーのモデルが記憶に強く残っていることでしょう。

そんなわけでこの日は、丸1日かけてスペシャル企画やライブ、インタラクティブ・コンテンツの公開など、さまざまなイベントが制定後毎年用意されています。

そこで今回、2024年の「Air Max Day(エアマックス・デー)」に発売が決定している新作スニーカー各種に加え、毎年恒例となっているこの祝祭について、知っておくべきポイントをご紹介します。

エアを可視化させた「ビジブルエア」。デザインの源はパリの有名複合文化施設

the nike air max 1, released in 1987, are seen at stashed, thursday, jan 11, 2018, in san francisco, calif
San Francisco Chronicle/Hearst Newspapers via Getty Images//Getty Images
カリフォルニア州サンフランシスコのショップ「Stashed*4」にて、2018年1月11日に初代「Air Max 1」が展示されたときの写真。

「Air Max(エアマックス)」とは言うまでもなく、1987年からナイキが展開している大人気スニーカーシリーズです。デザインを担当したのは、今や伝説的なシューズデザイナーとして知られるティンカー・ハットフィールド*5氏。

記念すべき初代「Air Max 1(エアマックス1)」は、1987年3月26日に発売されました。ハットフィールド氏はパリの名所「ポンピドゥー・センター*6」の露出された内部構造(特に建物の外部に飛び出た赤い底の通路部分)からインスピレーションを得て、ソールのクッション性能を高めるための圧縮空気(エア)を外から見られる画期的なデザインを生み出しました。

以降、「Air Max」は「Air Jordan(エアジョーダン)」と並んで、フィル・ナイト*7氏とビル・バウワーマン*8氏によって設立されたオレゴン州に拠点を構えるナイキの成功を象徴するスニーカーとなったのです。

※上にエンベットされているInstagramの投稿は、NIKE公式アカウントからオレゴン大学陸上チームでコーチを務めた時代のビル・バウワーマン氏。その下は、atomos*9が3月19日に投稿した3月22日(金)より発売開始する「NIKE W Air Max 1 '86 OG "ROYAL BLUE"」です。現在、抽選受付中です。

Air Max Day(エアマックス・デー)とは? レアモデルのリリースも

「Air Max Day(エアマックス・デー)」とは、ティンカー・ハットフィールド氏(「エアマックス 1」)からセルジオ・ロザーノ*10氏(「エアマックス 95」)、クリスチャン・トレッサー氏(エアマックス97)へと連綿と受け継がれてきた「Air Max」シリーズの伝統と、そこに携わった全ての人々を祝うための記念日。

新たなスニーカー愛好家を「Air Max」の輝かしい歴史に招き入れるための日でもあり、また古くからのコレクターにとっては、ナイキによって生み出されたさまざまなスニーカーの歴史的重要性を改めて振り返る1日でもあります。

さらにスニーカーマニアにとっては、希少かつ特別なモデルを入手するための、大きなチャンスでもあります。デザイナーやキュレーターとして活躍するショーン・ウェザースプーン*11とのコラボで生まれた「Air Max 1/97(エアマックス1/97)*12」や「London Summer of Love(ロンドン サマー オブ ラブ)*13」、さらには「Air Max 90 'Bacon'(エアマックス90 ベーコン)*14」のリイシューモデルといった名作の数々が、この「Air Max Day」にリリースされてきました。

Air Max Dayの始まりは2014年

「Air Max Day」が制定されたのは、「Air Max 1」の発売から27年後の2014年3月26日のこと。この年の目玉として「Air Max 1 Premium QS 'Air Max Day'(エアマックス1プレミアムQS‘エアマックスデー’)*15」がリリースされましたが、これはオリジナルの「Air Max 1」のカラーリングに鮮やかなネオンカラーを取り入れたデザインでした。

Air Max Day 2024の開催と参加は?

「Air Max Day 2024」に参加するには3月26日(火)およびその前後の期間、Nike SNKRSアプリとNike.comをチェックするのがおすすめです。また海外ではFootpatrolEnd.SNSOffspringといったナイキとの関係性も深いスニーカー販売サイトも毎年このイベントに参加しています。ウェブストアやソーシャルメディア、チャンネルなどをチェックし、情報を見落とさないようにしましょう。

Air Max Day 2024発売のスニーカー

毎年、ナイキは「Air Max Day」に注目すべきコレクションをリリースしています。新たなシルエットから新作コラボ、オリジナルカラーリングの復刻など、注目作がめじろ押しです。今年の「エアマックス・デー」でも数多くの話題作が販売されることになる見込みですが、そこでご紹介したいのが「エアマックス Dn」です。

NIKE Air Max Dn
nike air max dn
Nike
nike air max dn
Nike

「ダイナミック・エア」と呼ばれる新たに開発されたナイキエアユニット搭載モデルで、デュアルチャンバー、4つのチューブで構成されたこのユニットは、歩くたびに空気が圧力に反応し、「非現実的な履き心地、スムーズなストライド、最高の反発力」を提供するように設計されています。

履き心地だけでなく目も楽しませてくれるこの先進的なデザインは、ファッションに敏感なスニーカー愛好家にも支持されることでしょう。そのデザインは「エアマックス 720*16」や「エアマックス Tn*17」など、ナイキの最も革新的で人気のあるエアマックストレーナーを彷彿とさせます。3月26日(火)から順次発売予定で価格は2万130円です。

ちなみに日本で注目すべきは…

「エアマックス Dn」の世界観を体験できるスペシャルイベント “Dynamic Land(ダイナミックランド)”が3月23日(土)〜30日(土)の期間に新宿・歌舞伎町で開催されます。3月26日(火)の「エアマックス・デー」を挟んで1週間限定で出現する“Dynamic Land”では、「エアマックス Dn」のキャンペーンテーマである“常識が狂いだす”…非日常的な空間を表現した四つの空間が来場者を迎えるそうです。

それぞれの空間内では、さまざまな感覚を刺激するインタラクティブな演出がなされているということ。また「エアマックス Dn」を履いて参加できるAirインスタレーションを通して、Air Maxの最新のクッショニングテクノロジーの体験できるそうです。

なお、このイベントへの参加は時間枠ごとの先着順となります。予約方法については、NIKE公式サイト内特設ページでご確認を。


[脚注]

*1:Swoosh ナイキの象徴的なロゴであり、この英語は「物体がビューっと素早く移動する際の音」を意味し、スピード感や躍動感など表現している。1964年にフィル・ナイトとビル・バウアーマンによって設立された「Blue Ribbon Sports(ブルーリボンスポーツ)」が、その後1971年に現在の名前である「NIKE(ナイキ)」に変更。その名はギリシャ神話の勝利の女神「NIKKE(ニケ)」に由来するものであり、その際、ロゴデザインを任された当時ポートランド州立大学のグラフィックデザインの学生Carolyn Davidson(キャロライン・デイヴィソン)がこのSWOOSHを作成。「NIKKE(ニケ)」の翼からインスピレーションを受けたとされる。グラフィックデザイナーのためのフォーラムサイト「Graphic Design Forum」を参照

*2:Air Max この名前の由来は、その革新的な「エア」クッショニング技術にある。1987年に初めて発売された「Air Max 1」は靴のヒール部分に透明の窓が設けられ、特許を受けたエアバッグを露出させることで、そのクッショニング技術を直接視覚化。そこでこの革新的な「エア」クッショニングシステムに敬意を表する形で名づけられたということ。ナイキ公式サイト内エアマックスページを参照

*3:Christian Tresser 1990年代にナイキで活躍し、その革新的なデザインと先進的な技術で多くの成功を収めるその代表モデルが「Air Max 97」であり、それ以外にもナイキや他のブランドのために多くの有名なフットウェアをデザインしており、フットウェアデザイン界で高い評価を受ける。現在はアディダスで、Yeezy コンセプト・デザイン・ディレクター/デザイン・ディレクター・バスケットボールを務める。彼のLinkedinを参照

*4:STASHED サンフランシスコのドッグパッチ地区にあるセレクトショップ。公式サイトを参照

*5: Tinker Hatfield(1952年4月30日生~)ナイキの最も著名なフットウェアデザイナーの一人。オレゴン大学で建築を学んだ後、1981年にナイキに入社。代表作には、「Air  Jordan」のシリーズ III~XV、そしてXX、XXIII、XXV、XXIXなどがある。そしてもちろん「Air Max 1」、「Air Max '90」、「Air Traiber 1」など、Jordanブランド以外にも多くの革新的なナイキスニーカーをデザイン。 オレゴン大学サイト内の当該ページを参照

*6:Centre Pompidou(正式名 Centre national d’art et de culture Georges Pompidou)フランス・パリにある現代美術館であり、図書館、音楽と研究の施設を含む複合文化施設。Renzo Piano(レンゾ・ピアノ)Richard George Rogers(リチャード・ロジャース)らによって設計された。彼らの設計は構造要素、配管、空調ダクトなどを外部に露出させたデザインで知られる。公式サイトを参照

*7:Philip Hampson Knight(1938年2月24日生~) 大学を卒業後に世界一周の旅に出た際、日本・神戸に立ち寄り「オニツカタイガー」のシューズと出会う。その靴の品質と低コストに感銘を受け、オニツカ氏に電話し会うに。その結果、米国西部での「オニツカタイガー」の販売権を確保することに成功。彼はナイキに52年間勤務した後に2016年6月に退職している。Britannicaサイト内の当該ページを参照

*8:Bill Bowerman(William Jay Bowerman:1911年2月19日生~1999年12月24日没)ナイキの共同創設者の一人であり、オレゴン大学の伝説的な陸上競技コーチ。彼はアスリートのパフォーマンスを向上させるための革新的なトレーニング方法とフットウェアのデザインで知られている。バウワーマンは選手のニーズに応えるため、自宅にあったウェーブ巻き用のワッフルアイロンを使って靴底のプロトタイプを作成。これがのちに「ワッフルトレーナー」へと発展する。ナイキ公式サイト内の当該ページを参照

*9:atomos ナイキやアディダス、プーマなどの定番から人気の限定メンズスニーカーを多数そろえる。特にアトモス銀座店は地下にギャラリーを備え、さまざまなイベントや展示も行われている。公式サイトを参照、また「Air Max DN」特集ページ、「W Air Max 1 '86 OG "ROYAL BLUE"」を参照

*10:Sergio Lozano ナイキの著名なフットウェアデザイナーであり、特に「Air Max '95」のデザインで知られる。彼の作品は、人間の解剖学にインスピレーションを得た革新的なデザインで、スニーカーカルチャーにおいて重要な役割を果たした。「Air Max '95」、その独特の層になったサイドパネルと可視性エアクッショニングが特徴で、90年代のスニーカーデザインに新たな方向性を示した。ナイキ公式サイト内の当該モデルを見る

*11:Sean Wotherspoon(1990年3月3日生~) ストリートウェアとスニーカーカルチャーの分野で影響力のある人物で、特にナイキとのコラボレーションによる「Air Max 1/97 SW」で知られている。このスニーカーは、ヴィンテージの色合いと素材を組み合わせたデザインが特徴で、世界中のスニーカーファンから高い評価を受けることになる。また「Round Two」というヴィンテージストリートウェアとスニーカーの店を共同設立している。公式Instagramを参照

*12:Air Max 1/97 SW 2018年に発売。2017年にナイキは「Vote Forward」キャンペーンの一環として、世界中の12人のクリエイターがそれぞれ独自のAir Maxデザインを競い合った。そこで公開投票によって勝者となったのがSean Wotherspoonであり、製品化された。ナイキの二つの象徴的なモデル「Air Max 1」と「Air Max 97」を融合させたもので、80年代から90年代のヴィンテージスポーツウェアにインスピレーションを得たデザインが特徴。Sean Wotherspoon公式InstagramのPostを参考

*13:Air Max 97 OA JL “LONDON SUMMER OF LOVE” 2019年に発売2018年に開催された「Nike: On Air コンテスト」で世界各地から若手デザイナーを集め、彼らが自分たちの都市を代表する「Air Max」のデザインを競うイベントを行う。そこでJasmine Lasode(ジャスミン・ラソーダ)の“London Summer of Love”は、その中でも特に目立つ作品として選ばれ、ナイキの「Air Max 97」モデルをベースにして製品化された。「夕焼け、コンビニで買った飲み物、店の値札、シューズ全体で、恋の気分と良い雰囲気を表現したつもり」と思いが込められている。ナイキ公式サイト(US)の当該ページを参照

*14:Air Max 90 'Bacon' かつてニューヨークに存在した伝説のスニーカーブティック『Dave’s Quality Meat』とNIKEによるコラボスニーカーとして2004年に発売。同モデルは2000年代屈指の名作としてコアなスニーカーフリークの間で人気の高い1足となるも同ショップが閉店してしまい、なかなか復刻がかなわなかった。しかし、2021年にリイシューされている。ショップ創設者であるデイブ・オルティスのアイデアに基づき、豚肉のさまざまな部位を連想させるピンク、レッド、ブラウンの色合いでデザインされている。StockXで当該モデル(2004年)を参照

*15:Air Max 1 Premium QS 'Air Max Day' 1987年に「Air Max 1」が発売されたことを祝う「Air Max Day」の初年度用として特別にデザインされたモデル。「Air Max 1」のクラシックなデザインをベースにしながら、限定版のカラーウェイや独特のディテール、プレミアム素材を採用している。特別なカラーウェイや記念的なディテールでアップデート。StockXで当該モデルを参照

*16:Air Max 720 2018年に発売された"32mm"の厚さのエアユニットを装備した「Air Max 270」に続いて、2019年はそれを超える"38mm"の高さへと進化したモデル。「AIR MAX 720」の登場。足裏全体に敷き詰めるフルレングス仕様へ変更し、縦・横に増幅され視覚にも存在感をアピールし、快適なクッショニングが一日中持続する1足として評判だった。StockXで当該モデル群を参照

*17:Air Max Tn正式には「Air Max Plus」として知られる、1998年に発売されたランニングシューズ。「Tuned Air」という技術を導入した最初のモデルの一つであり、「TN」の名前もここから来ている。「Tuned Air」は、異なる圧力のエアユニットを足の特定の部分に配置することで、より細かいクッショニングの調整を可能にした。ナイキ公式サイトの当該モデル群を参照

From: Esquire UK