生誕100年記念シンポとコンサート「時空を超える貴志康一」彗星のような男がいた

2009年1月18日(日)新神戸オリエンタル劇場

【コンサート】情感豊か 聴衆を魅了

 記念演奏会では、中嶋さんが、ベルリン時代の貴志が師と仰いだ作曲家ヒンデミットの作品「九つの英語の歌」から「彼のカップよりお茶を飲むハエについて」や、天神祭のかがり火を背景に、浪花娘の初恋を歌い上げた「赤いかんざし」、大阪の名所や情景を歌い込んだ「かごかき」などの貴志歌曲を情感豊かに歌った。

 また、貴志の親族のフルート奏者・古田悠子さんもゲストとして登場。貴志のバイオリン曲を編曲した「竹取物語」「月」を演奏し、大きな拍手を浴びた。

<本を読む>

 忘れられていた貴志康一が復権する足取りをたどった「貴志康一 よみがえる夭折の天才」(日下徳一、音楽之友社)、貴志の生涯を遺族の証言や膨大な資料をもとに描いた評伝「貴志康一 永遠の青年音楽家」(毛利真人、国書刊行会)などがある。

<演奏を聴く>

主な貴志作品の演奏会など

 ●大阪フィルハーモニー交響楽団 3月31日19時、大阪のザ・シンフォニーホール。歌曲「天の原」「かごかき」「力車」「赤いかんざし」、バイオリン協奏曲、交響曲「仏陀」。指揮・小松一彦、独唱・坂本環(ソプラノ)、独奏・小栗まち絵(バイオリン)。大阪フィルチケットセンター(06・6656・4890)。

 ●毛利真人による映画とレコードコンサート 4月16日13時30分、大阪府吹田市のメイシアター。貴志が監督した映画「春」「鏡」を上映。旧西尾家住宅(06・6381・0001)。

 ●オペラ「ベルリンの月〜貴志康一物語」 4月18日17時、19日14時、吹田市のメイシアター。関西芸術振興会(06・6943・1891)。

 ●関西フィルハーモニー管弦楽団 5月21日19時、大阪のザ・シンフォニーホール。「日本組曲」。指揮・小松長生。関西フィル(06・6577・1381)。

 ●アルカディア特別演奏会 5月31日14時30分、神戸市の神戸新聞松方ホール。歌曲「赤いかんざし」「かもめ」ほか。指揮・金洪才。独唱・寺本郁子。アルカディア音楽芸術振興財団(0797・34・4333)。