東京都大田区・大森で活動するダブルダッチスクール・大森D.D.S。2020年3月に映像審査へと変更されて開催された「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2020」では、所属するチーム・No Logicがジュニアクラスにおい…

東京都大田区・大森で活動するダブルダッチスクール・大森D.D.S。2020年3月に映像審査へと変更されて開催された「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2020」では、所属するチーム・No Logicがジュニアクラスにおいてスピード部門、パフォーマンス部門ともに優勝し、完全制覇という快挙を達成。カナダで行われる世界大会への出場を決めて注目を集めている。
ジュニアダブルダッチ界に彗星のように突如出現し、全国のダブルダッチャーのみならず世界からも注目されている大森D.D.Sとは一体どんなスクールなのか。
「大森D.D.S」でコーチを務めるプロダブルダッチチーム・Bee Workerのdash・はち、そしてNo Logicのメンバーへのインタビューを通じて大森D.D.Sの全貌に迫る。


No Logic / photo by HAMASHOW

大森D.D.Sプロフィール

東京都大田区の大森地域で活動するダブルダッチスクール「大森D.D.S」です。
「ダブルダッチを思いっきり楽しむ」ことをモットーにして、一人ひとりの目標に合わせたレッスンを行っています。


大森D.D.S 写真上段左からコーチのはち、dash、下段左からNo LogicのSUZU、Yu-Yu、Pico、NoNo / photo by HAMASHOW

dash・はちプロフィール

dash

プロダブルダッチチーム・ Bee Workerのリーダーを務め、関東を中心にダブルダッチインストラクターとしてだけでなくパフォーマーとしても活躍中。
ダブルダッチに必要であるスキルはもちろん、ブレイキンやHip-Hopなど、取り入れられるものは活用し新しい道を切り拓く為日々邁進中。

はち

誰にも真似できない程の笑顔と見る度に引き込まれるオリジナリティを武器に、プロダブルダッチチームBee Workerの紅一点として活躍中。
現在日本で最年少のプロダブルダッチャーであり、指導者でありながらプレイヤーでもありMC業もこなすというマルチな面をもつ唯一無二の存在である。


写真左からはち、dash / photo by HAMASHOW

大森D.D.Sはどんなダブルダッチスクール?

–大森D.D.Sのプロフィールについて教えてください。

dash:大森D.D.Sは東京都大田区・大森で活動しているダブルダッチスクールです。現在は中学校1年生から小学校4年生までの7名が所属しています。
毎週月曜日と木曜日には基礎や応用、タブルダッチの楽しさを学ぶ「ダブルダッチクラス」を開講しており、そのほか希望制でイベントや大会に挑戦する「チームクラス」も開講しています。
大森D.D.Sには現在、中学1年生と小学6年生の4人組・No Logicと小学4年生の3人組・Bud Awakerという2つのチームが所属しています。
No Logicは2020年3月に行われた「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2020」のジュニアクラスにおいてスピード部門、パフォーマンス部門ともに優勝を飾り、カナダで行われる世界大会「DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD 」への出場を決めることができました。
また、Bud Awakerも関東地区に加えて北海道、愛知県などが参加するキッズの大会それぞれで、3大会連続ベストパフォーマンス賞受賞という快挙を達成しています。


Bud Awaker / photo by 大森D.D.S

–1日の練習の流れを教えてください。

はち:大森D.D.Sでは基礎をとても大事にしており、1日の練習では前半で基礎、後半で応用や大会でのパフォーマンスの練習などを行っています。大会がない期間では、音の構成を考えたり、基礎練習の中に今後必要になるムーブを取り入れた練習をするなどの工夫をしています。
カッコ良い演技を目指すNo Logicと、観客を楽しませる演技を目指すBud Awaker、そしてそれぞれの個人のタイプに合わせた練習メニューを組んでいます。
また、最近では単縄跳びも練習に取り入れています。


「1日の練習では前半で基礎、後半で応用や大会でのパフォーマンスの練習などを行っています」/ photo by HAMASHOW

–大森D.D.Sをひと言で表すと、どんなスクールだと思いますか?

dash:一言で表すと「ON / OFFがしっかりしているスクール」だと思います。ダブルダッチの上達はもちろんですが人間としての成長を一番に考えているため、挨拶や返事、時間を守ること、忘れ物等にはかなり厳しく指導しています。
練習自体も厳しいと思いますが、ダブルダッチの楽しさも感じて欲しいと思っているので、時にはゲームをしたり、練習以外のお昼ご飯や休憩時間は和気あいあいとした雰囲気で過ごしています。
レッスン中はコーチと生徒という関係ですが、それ以外の時間は友達同士のような関係だと思います。

はち:そんな関係からか指導者仲間からも「大森D.D.Sは楽しそうだね」と言われることが多いですね。
レッスン以外の時間はみんなが私のことを”はっちゃん”、dashのことを”だいちゃん”とあだ名で呼んだり、みんなでお菓子をじゃんけんして取りあったりするのが日常です。
季節ごとにお花見やバレンタイン、ハロウィン、クリスマス会などのイベントを行ったり、保護者の皆様とも仲が良いため、一緒に遠征に行った帰りにはみんなでご飯を食べに行ったり、川で魚釣りやバーベキューをしたりもします。

dash:レッスンは見学自由なので、僕たちと一緒に喋りながらレッスンを見ることもあります。生徒の衣装を一緒に作ったり、車にステッカーを貼ってくれているお父さんもいますね。
基本的には施設の予約や連絡など自分たちで全て行っているのですが、動画の撮影やイベントの準備を手伝ってくれたり困った時には助けてくれて、良い人たちばかりで非常に感謝しています。


「レッスン中はコーチと生徒という関係ですが、それ以外の時間は友達同士のような関係です」/ photo by Tetsuya Okada

–大森D.D.Sのメンバーがダブルダッチをする上で大切にしていることはありますか?

dash:大森D.D.Sとして一番大切にしていることは挨拶と礼儀です。
僕は小学5年生から野球をやっていて、高校生の頃は強豪校に入り寮生活もしていました。今振り返ると、野球を通じて挨拶や礼儀といった人とのコミュニケーションの大切さを学べたことが自分の人生にとって重要だったと感じています。社会に出てみて初めて、野球をやっていた当時は普通だと思っていた挨拶や礼儀が、社会では一番大事なことなのではないかと思うようになったんです。
そして自分が大森D.D.Sで指導するにあたって「子供たちのために何を教えてあげられるか」と考えた時に、ダブルダッチだけではなく、挨拶や礼儀といった僕が野球を通じて学んだことを子供たちにも伝えたいと思い、挨拶と礼儀を大切に指導していくことにしました。
今はわからないことでも、年齢を重ねた時に「あの時大森D.D.Sでダブルダッチをやっていてよかった」と思ってもらいたいですし、お金をもらっている以上は人間としても成長させてあげたい、ご家族にも成長した姿を見てもらいたいという思いがあります。


「ご家族にも成長した姿を見てもらいたいという思いがあります」/ photo by HAMASHOW

「残ってくれた12人のために」dash・はち、大森D.D.Sとの出会い

–dashさん、はちさんが大森D.D.Sで教えることになったきっかけを教えてください。

はち:大森D.D.Sの結成は5年前、そして私たちがこのスクールを引き継いだのは3年前になります。
もともと大森D.D.Sは当時明星大学の学生であった私たちの友人が指導をしていました。しかしその友人が就職することになり、ちょうど関西から上京するタイミングであった私たちに「大森D.D.Sというスクールの指導を引き継いでくれないか」という相談をしてくれたことがきっかけで、私たちが教えることになりました。
それまでスクールには20〜30人の参加者がいたらしいのですが、金額や方針が変わったこともあって残ってくれた12人からの再スタートでした。

dash:もともと大森D.D.Sは、駒沢公園で定期的に開催していた「Let’s Play DOUBLE DUTCH」というイベントを訪れた地域の方から、そこで講師をしていた友人に大森でダブルダッチスクールを開いて欲しいという話があったことが結成のきっかけとなっています。
「一緒にダブルダッチを楽しもうというスタンスでよければ」と、その友人はスクールを始めたそうですが、僕たちがスクールを引き継ぐにあたって、「立派な大人になるための指導と本格的なダブルダッチの指導をします」というスタンスに方針を転換しました。
そんな中でも残ってくれた子たちのために精一杯頑張ろうという気持ちでこのスクールを引き継ぎました。
そしてその時残ってくれた子が、現在のNo LogicとBud Awakerです。No Logicは結成当初から「世界大会で優勝すること」を目標に今まで頑張ってきました。だからこそ今回全国大会で優勝し、世界大会への切符を手にすることができた嬉しさにも、感慨深いものがあります。


No Logic 2018年8月 / photo by 大森D.D.S

–プレイヤーという立場から指導する立場となったことで苦労したことはありますか?

はち:ダブルダッチの体験会などで簡単に教えた経験は何度もありましたが、基礎を教えたり上達のために指導したことはなかったので最初はとても難しいと感じました。特に子供は一人ひとり感じ方も考え方も異なったので、その子に合わせた教え方が必要だと痛感しました。
どうしてこの練習が必要なのか、どうしてこのポイントを気をつけなければいけないのか、ひとつひとつのムーブはどのような原理でできているのか、といったことについても、プレイヤーの頃よりも一層、深く考えるようになりました。

dash:今まで何気なくできていた動きもいざ教えるとなると、ひとつひとつの動作を細かく言語化して伝えることが必要だと最初の一週間で痛感しました。初めのうちは何もかもが手探りで、体当たりでやっていくしかありませんでした。
そんな経験もあり、現在では常に、「分かりやすい説明」を最も大事にして指導しています。
またこれは後からお母さんづてに聞いた話なのですが、初めのうちは関西弁が怖いと思われていたそうです。標準語だと思っていたことが伝わらなかったりという、言葉のギャップも当初はありました。
最近では、みんなの前では標準語で喋るように心がけているのですが、みんなも徐々に関西弁に寄せた喋り方になってきています。


「最近では、みんなの前では標準語で喋るように心がけているのですが、みんなも徐々に関西弁に寄せた喋り方になってきています」/ photo by HAMASHOW

大森から世界へ、No Logicが目指す世界No.1の称号

–「DOUBLE DUTCH CONTEST JAPAN 2020」ジュニア部門においてスピード部門、パフォーマンス部門でともに優勝という快挙を成し遂げた感想を教えてください。

Pico:No Logicのみんなで一つの目標に向かって、自分たちのできる100%以上の力で練習に取り組んでいたので、パフォーマンス部門とスピード部門での優勝が決まった時は、本当に嬉しくて涙が込み上げてきました。
教えてくれた先生たちやアドバイスをしてくれたお父さんお母さん、No Logicを応援してくれた人たちのおかげで、優勝することができたのだと思います。
いつもと違った結果発表の仕方だったので、その場で賞状がもらえなかったり、みんなで一緒に優勝の瞬間に立ち会えなかったこともあり、はじめのうちはあまり実感が湧かなかったのですが、手元に賞状や賞品のG-SHOCKが届いて徐々に優勝の実感が湧いてきました。
これからは世界大会に向けて、これまで以上の努力を重ねて練習に取り組みたいと思います。


No Logic 写真左からYu-Yu、SUZU、Pico、NoNo / photo by HAMASHOW

–周りからの反響はありましたか?

Yu-Yu:中学校ではリモートで表彰をしてもらいました。クラスみんながどんな顔をしているかわからない中で、校長室で一人だけで表彰されたので不思議な気分でした。

SUZU:学校だよりにも掲載してもらいました。また、Yu-Yuが表彰された日にその中学校に通っている友達からすぐに連絡がきて驚きました。

Pico:先生たちにも大会の動画を見てもらい、クラスでも「おめでとう」とお祝いしてもらいました。


「中学校ではリモートで表彰をしてもらいました」 / photo by HAMASHOW

–新型コロナウィルスによる自粛期間中はどのように練習を行っていたのでしょうか。

dash:自粛期間中は学校もなく、4月からの2ヶ月間はみんなの家とZOOMやLINE通話を繋いでオンラインでレッスンをしていました。練習環境的にもできることが限られるため、どのような練習をするかに苦心しました。
しかし、REGSTYLEなどの多くの先輩ダブルダッチチームがYouTubeやSNSを使ってHOW TO動画を発信してくれたおかげで、彼女たちの成長につながりました。
また結果が決まってからは、いろいろな方がオンラインミーティング等で彼女たちにアドバイスをくれたこともあり、自粛期間であったからこそ周りに恵まれて、No Logicとしては得るものも大きい期間であったと感じています。


「自粛期間であったからこそ、周りに恵まれて、No Logicとしては得るものも大きい期間であったと思います」/ photo by HAMASHOW

–新型コロナウィルスによって大会での演技が映像審査に切り替わりましたが、それによってチームのモチベーションは変化しましたか?

NoNo:舞台の上で演技をするとずっと思っていたので、残念な気持ちが大きかったです。提出用映像の撮影も何度かに渡ってしまい、モチベーションが下がってしまって、メンバーが泣いてしまうこともありました。
でも優勝が決まり、カナダ行きが確定した時は気持ちが再び高まって、「カナダに行って、絶対に優勝したい」と心に誓いました。
今後の状況次第では世界大会が通常通り開催できるかはわかりません。しかし私たちの目標は日本一ではなくて世界一なので、その目標を達成できるように今から気を引き締めて頑張ります。


No Logic 2019年 「DOUBLE DUTCH DELIGHT」 / photo by 大森D.D.S

–世界大会への意気込みをお願いします。

SUZU:実際に世界大会に出てパフォーマンスをする時は、年齢的に一つ上のクラスになってしまうので、難しいところもあるかもしれません。しかしチームで出ると決めたことなので言い訳せずに、No Logicらしく一番良いパフォーマンスをしたいと思います。
サポートをしてくれたお父さんやお母さん、先生や応援してくださった方々への感謝を忘れずに、夢だった世界の舞台に立ってぶっちぎりで優勝して世界一になりたいと思います。


「ぶっちぎりで優勝して世界一になりたい」 / photo by HAMASHOW

ダブルダッチスクール・大森D.D.Sが描く未来

–大森D.D.Sとして今後どのようなダブルダッチスクールを目指していますか? また、最後にスクールのメンバーへのメッセージをお願いいたします。

dash:どこに行っても「みんな挨拶できて礼儀も正しくて良いスクールだね」と思ってもらえるようなスクールを目指しています。
結果を残しても応援されるような子たちじゃなかったら周りは認めてくれないと思うので、これからもそういった面には特に厳しく指導していきたいと思っています。
また、みんなにはダブルダッチを通していろいろな経験をしてほしいと思っています。
楽しいことや辛いこと、大切な仲間との思い出をたくさん作って、将来自分が大人になった時に色々な場面でその経験を生かしてもらいたいし、ダブルダッチをやって良かったなと、後々でもいいので感じてもらえたら嬉しいです。
今はまだわからないこともあると思いますが、絶対に損はさせないので先生たちのことを信じてついてきてほしいと思います。

はち:No Logicはこの夏の「DOUBLE DUTCH DELIGHT JAPAN」で優勝すれば春夏連覇という快挙を成し遂げることができます。歴史に名前を残し、そして本人たちの夢である世界一を達成できるよう全力で指導するので、みんなも全力で頑張ってほしいなと思います。
またダブルダッチに限らず、何事に対しても後悔しない生き方をしていってほしいです。遊びも、勉強も、部活も、全力で取り組むことが自分の人生の幅を広げることに繋がると思っています。
みんなのダブルダッチ人生はまだまだ始まったばかり。スキルはもちろん、人間としても成長できるよう、これからも一緒に頑張っていきましょう。


大森D.D.S 写真左からdash、はち、Yu-Yu、SUZU、Pico、NoNo / photo by HAMASHOW

日本全国、そして世界のダブルダッチャーが今最も注目しているダブルダッチスクール・大森D.D.S。その活躍の裏側にはdash、はちという2人の指導者と、世界一という結成当初から掲げる大きな目標に向かって日々努力を重ねるプレイヤーたちの熱い思いがあった。
「DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD 2020」は中止、「DOUBLE DUTCH CONTEST WORLD 2021」へ延期されることが決定しており、No Logicは開催時の年齢によりU-19クラスでの出場となってしまうとのことだが、彼女たちの瞳は明るく、そして夢の実現に向かって燃えている。

また、No Logicは取材直後に行われた「DOUBLE DUTCH DELIGHT NEXT HEROES EAST 2020」NOVICE部門において2位に輝き、見事全国大会への出場権を獲得。春夏連覇への大きな一歩を踏み出している。
大森から世界へ羽ばたくダブルダッチスクール・大森D.D.Sの今後の活躍が楽しみだ。

大森D.D.S概要