2040年の地域医療、在宅・介護に重点 構想見直しに着手
厚生労働省は29日、2040年を見据えた地域医療のあり方に関する議論を始めた。高齢化が進み、在宅医療や介護を必要とする人が増える。病床数をもとにした医療資源の配分に重きを置く発想を転換し、病院と介護施設が連携した体制を整えて高齢者の暮らしを支える。
医療機関の機能ごとに必要な病床数などを定めた「地域医療構想」を見直す。今の計画では、全国で集中的な治療が必要な急性期の病床をおよそ23万床削減し、リハビリなど回復期の病床を24万床ほど増やす方針だ。
新たな構想は、在宅医療やかかりつけ医、介護との連携といった視点を盛り込む。地域で限られた医療人材を在宅医療など高まるニーズにどう振り向けるかを検討する。亡くなる人が増えるため、終末期医療などを充実させることも論点となりそうだ。
厚労省は年末にも制度改正の方向性をまとめる。地域医療機関の意見を踏まえて26年度中に新たな構想を策定する。
40年時点の85歳以上人口は今より300万人程度増えて1000万人を超える見込みだ。85歳以上の要介護認定率は6割ほどで高く、医療と介護の両面で支援を必要とする人が増加する。死亡者数もピークを迎え、年間170万人に達する可能性がある。
一方で25年から40年にかけて15〜64歳の生産年齢人口は約15%減る。医療や介護分野の人材不足が見込まれるなかで、役割分担を明確にする必要に迫られている。
厚労省が29日に開いた地域医療構想に関する有識者会議の初会合では、委員から「少ない若者でどのように高齢者を支えるのか。IT(情報技術)の活用を含めて真剣に考えなければ医療も介護も崩壊する」との意見が出た。