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「ヴェルクマイスターハーモニー」4k

監督・脚本:タル・ベーラ
2000年/ハンガリー、ドイツ、フランス/146分

"天文学が趣味のヤーノシュは老音楽家エステルの身の回りの世話をしている

雪も降らず、霧のほかには何も覆うものがない、ハンガリーの田舎町

そこへ、サーカスがやって来る

見世物のクジラと、謎のプリンスと呼ばれる人物

その日を境に、なぜか広場に群がる住人達

何かが歪み始める…"





ハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督作品、初鑑賞

7時間18分という「サタンタンゴ」は観る気力が湧きませんでしたが

こちらは146分

しかしカット数は37という少なさで、長回しを用いることでも有名な監督

主人公ヤーノシュを演じるラルス・ルドルフの顔に惹きつけられる

監督が彼に会って映画化を決めたというのもうなずける

すでにどこか狂気をおびた顔つきだと思っていたが、わりと素直ないい青年の役だった

長回しの効果はすばらしかった

おもしろい

カメラマンの技術面にも想いを馳せてしまう

物語は難解ではあるけれど、画面を見飽きることはない

ただ、ヤーノシュの最後だけは、なんだかつまらないと感じてしまった…他の映画でも観た結末じゃん…と思ってしまった

そんなのやだよ、退屈だよ、おもしろくないよ、と思ったけれど

タル・ベーラに言ったところで一喝されるだろう…

けっきょくあの女の人の目的はなんだったのか、よくわからない

プリンスと繋がりがあったわけではないのだろうか…?

難解は難解のままで、解き明かさないのが、タル・ベーラ流なのかもしれない…


よくわかんないけれど、わかる気もする

とにかく気になっていたので、観に行けて納得した


こちらは冒頭のさっそく10分にわたる長回し!

個人的に一番印象に残った長回しは、ヤーノシュとエステルが並んで歩くところを横から追ったもの

もはや長回しすぎて、いろいろ雑念が湧く

なんじゃこりゃ、とか

けれど、そこがかっこいい



タイトルにもなっている、ヴェルクマイスターというのは、ヴェルクマイスターという人物が確率した音律で

現代一般的に使用されている音律とのこと

それ以前に使われてきたピタゴラス音律というあいまいさのあるものを、調律してわかりやすく、使い易くしたものらしい…

エステルという登場人物は、そうしたことで失われたものを嘆いているようだ


「この映画は私にとって単なる物語以上の意味があります」

タル・ベーラはそう語っている…




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