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カテゴリ:医学論文
2024年3月1日にLancet Healthy Longevity誌に掲載された論文の紹介 成人糖尿病予備群におけるサルコペニア予防のための積極的ビタミンD治療
研究背景 観察研究では、血清25-ヒドロキシビタミンD濃度とサルコペニア発症との間に逆相関があることが示されていますが、ビタミンDによる治療がサルコペニアの発症を予防するかどうかはわかっていません。 そこで活性型ビタミンD(エルデカルシトール[0~75μg/日])による治療が、糖尿病予備群の成人におけるサルコペニアの発症を抑制できるかどうかを評価することを目的として研究を行うこととしました。 研究方法 活性型ビタミンDを摂取する群とプラセボ群に分けて無作為化二重盲検多施設共同試験を行いました。 参加者は日本の32の診療所および病院から抽出されました。 参加者の割り付けは、層別順列ブロック法を用いて各病院で無作為化リストを作成する中央無作為化法を用いて行いました(1対1)。 主要評価項目は、intention-to-treat解析により、3年間のサルコペニア発症率としました。 サルコペニアの定義は、握力が弱い(男性28kg未満、女性18kg未満)、骨格筋指数が低い(生体電気インピーダンス分析で男性7.0kg/m2未満、女性5.7kg/m2未満)としました。 通常の高カルシウム血症の基準は10.4mg/dL(2.6mmol/L)以上であるが、試験を中止基準の高カルシウム血症は11.0mg/dL以上と定義しました。
結果 合計1094人の参加者(エルデカルシトール群548人、プラセボ群546人、女性44.2%、平均年齢60.8[SD 9.2]歳)、中央値2.9(IQR 2.8-3.0)年間追跡されました。 エルデカルシトール投与はプラセボ投与と比較して、サルコペニア発症に対して統計学的に有意な予防効果を示しました(エルデカルシトール群548人中25人[4.6%]、プラセボ群546人中48人[8.8%] ハザード比0.51 95%信頼区間0.31~0.83 p=0.0065)。 有害事象の発生率は両群間で差がありませんでした。
結論 エルデカルシトールによる治療は、骨格筋量および筋力を増加させることにより、糖尿病予備群のサルコペニアの発症を予防し、転倒のリスクを大幅に減少させる可能性があると考えられました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.04.05 08:40:07
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