世界に名を轟かせた10人のロシア女性

Kira Lisitskaya (Photo: John Phillips, Mike Hewitt/Getty Images; V. Bliokh/Sputnik)
 歴史に名を残した男性は枚挙に暇がないが、一方で女性は何世紀にもわたって、男性の影に隠れがちであった。しかし、そんな中でも、国の誇りとなった女性たちもいた。

1. オリガ大公妃

 オリガは、9世紀末から10世紀初頭にかけての統治者イーゴリ大公の妻である。 夫の死後は摂政として幼い息子を後見し、事実上、初の女性統治者となった。オリガは、夫を殺害したドレヴリャーネ族に対する凄惨な報復が最も良く知られている。また、彼女はロシアの統治者として初めてキリスト教に改宗し、ロシアでは使徒たちに並ぶほど尊敬される最初期の聖人の一人となった。

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2. エカチェリーナ2世

 大帝とも称され、30年以上にわたってロシアを統治した。ドイツ出身の彼女は正教に改宗し、ロシアの愛国者を自認していた。ロシア帝国の領土はエカチェリーナの統治下で急速に拡大し、クリミアをはじめ南方の諸地域も併合された。エカチェリーナは全国に多くの都市を新たに建設し、啓蒙専制主義の信奉者とみなされ、ヨーロッパの哲学者たちと文通し、多くの改革を実施した。他方で彼女の治世には、情実政治や農民への抑圧などもあり、評価の分かれるところである。

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3. アンナ・パヴロワ

 世界的に知られた、20世紀初頭のロシアのバレリーナ。彼女には詩や彫刻が捧げられ、彼女の名を冠したデザートまで存在する。公演のために、彼女は地球をほぼ一周した。その動作は驚くべき軽やかさで、ふわりとしたそのジャンプは、重力という枷を克服したかのようにさえ思えた。パヴロワは、ディアギレフの名高いバレエ団のスターであり、かの有名な「瀕死の白鳥」を初めて踊ったのも彼女である。

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4. アンナ・アフマートワ

 露語で女流詩人を意味する「ポエテッサ」という語をアフマートワは嫌い、単に詩人を意味する「ポエート」を名乗った。アフマートワは、20世紀の文学に最も輝かしい足跡を残した人物の一人である。愛と悲しみ、ロシアの運命、我々を取り巻く世界の問題を、驚くべき深みをもって歌い上げた。彼女はその才能をもって、従来は男性ばかりで占められていた文学界の最高峰に到達した最初期の女性作家の一人となった。

 また、夫の銃殺、息子の逮捕、詩の発禁という災難に遭いながらも、彼女は類まれな気丈さで恐ろしい抑圧の時代を生き抜いた。同時に、彼女は神秘的な女性であり続け、アメデオ・モディリアーニを含む、同時代の多くの芸術家にとってのミューズでもあった。

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5. ゾーヤ・コスモデミヤンスカヤ

 第二次世界大戦中、ロシアの女性たちは男性と肩を並べて戦った。スナイパー、パイロット、看護婦など、「女戦友」たちの英雄的なストーリーは数多い。しかし真に伝説になったのは、この18歳の少女だった。前線行きを志願したコスモデミヤンスカヤは、パルチザンとともに敵の支配地域で偵察と破壊活動を行った。

 そうした活動中、彼女は占領されていた村の対敵協力者によってナチス側に引き渡された。凄惨な拷問にも関わらず、彼女は自分の本名も、他のパルチザンに関する情報も、秘密は何一つ明かさなかった。彼女は絞首刑となってそのまま絞首台に晒され、ようやく1か月後になって、ソ連兵によって遺体は回収された。

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6. ワレンチナ・テレシコワ

 初めて宇宙に行った女性は、当時25歳のワレンテチナ・テレシコワである。1963年に単独飛行し、地球を48回周回した。彼女の記録は破られていない。

 トラクターの運転手だった父と織物工場の工員だった母の間に生まれた彼女は、宇宙飛行を希望した8000人のソ連女性の中から選ばれた。ソ連の指導者ニキータ・フルシチョフは、社会主義において女性には機会の平等があり、宇宙にさえ飛び立てると強調した。

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7. マイヤ・プリセツカヤ

 「バレエの分野においては、私たちはこの星の最先端だ」というフレーズは、ソ連の詩人ユーリー・ヴィズボル作詞の歌の一節である。ロシアの名を最も高めたのは、バレリーナたちに相違ないだろう。ソ連屈指の偉大にして天才的バレリーナの一人が、マイヤ・プリセツカヤだ。プリセツカヤは実に30年にもわたり、ボリショイ劇場で『白鳥の湖』を踊り続けた。彼女は1947年から1977年まで主役の白鳥を演じ、公演は800回を超える。スターリンもフルシチョフも、そして多くの外国からの賓客が、プリセツカヤ演じるオデット/オディールを鑑賞した。こんにちに至るまで、彼女はこの役を演じた最高峰とみなされている。彼女の長い腕の動きは、見る者にまさに白鳥の羽ばたきを思わせるものだった。 

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8. アンナ・ネトレプコ

 力強い歌声と、抜群のカリスマ性に恵まれたオペラ歌手ネトレプコが、世界を魅了したのも不思議ではない。ニューヨーク、ロンドン、ウィーン、ミュンヘンなど、オペラで名高い世界のあらゆる都市に、ネトレプコのポスターが掲げられた。ヴェルディの『椿姫』、モーツァルトの『魔笛』、グリンカの『ルスランとリュドミラ』などなど、有名なオペラの女性パートでその美声を披露してきた。

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9. マリヤ・シャラポワ

 シャラポワほど、世界的に有名なロシアのスポーツ選手はいないのではないか。ウィンブルドンを筆頭に数多の世界選手権を制し、かのセレナ・ウィリアムズの好敵手として名をはせたシャラポワは、その美貌とともに、才能溢れるプレーと忍耐力で多くの人に記憶された。また、特徴的な叫び声とともに放たれるサーブは、彼女の代名詞ともなった。

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10. ナタリヤ・ヴォディアノヴァ

 彼女の運命は一種のシンデレラ・ストーリーを思わせる。地方の貧しい家庭に生まれたヴォディアノヴァはファッションの都パリで成功をおさめ、英国貴族と結婚し、後にフランスでもトップクラスの富豪と結ばれた。

 天使のような容姿によって、ヴォディアノヴァは美の基準の一つともなった。シャネル、イヴ・サン=ローラン、グッチなど、世界で最も有名なブランドと仕事をしてきた彼女だが、一方で5人の子供の母でもあり、また活発な慈善活動も行っている。ヴォディアノヴァの「Naked Heart Foundation 財団」の活動は、ロシアで非常によく知られている。

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