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作曲と指揮の両面で唯一無二の存在感を示した20世紀を代表する音楽家、ピエール・ブーレーズ(1925~2016年)は、東京芸大時代の野平一郎さんにとって大きな存在だった。「ドビュッシーなど20世紀初頭の音楽を、彼が振っているのを聴いて、なんだか納得できるんですよ」。中学生の頃からレコードでその音楽に触れ、高校生や大学生になると来日公演に足を運んだ。
野平さんが学生だった70年代、ブーレーズは活動の拠点を英米から祖国のフランスに戻し、現代音楽に特化した演奏団体「アンサンブル・アンテルコンタンポラン」の結成や、最先端の音楽や音響を追求する「フランス国立音響音楽研究所(IRCAM=イルカム)」の設立へ動き出している時期だった。「自分は新しいことに興味があったんでしょうね。新しいことをしなければ、作曲家として何の存在理由もないと考えていた。だから、…
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