戦後78年、終戦時首相「鈴木貫太郎」知られざる功績 普通の文官だったら軍は収まらなかった

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鈴木貫太郎
終戦時の首相だった鈴木貫太郎(写真:近現代PL/アフロ)
海軍大将や学習院院長を務め、昭和天皇の「人間宣言」の文案作成にもかかわるほど、天皇から信頼を寄せられていた山梨勝之進。その山梨が最晩年に力を注いだのは、海上自衛隊幹部学校で行った講話でした。その講話録の中から、今回は終戦時の首相だった鈴木貫太郎のエピソードをお届けします。
※本稿は『歴史と名将 海上自衛隊幹部学校講話集』から一部抜粋・再構成したものです

鈴木貫太郎のような立場になった人はいない

先刻承ると、切りつめた時間にきわめて組織的に教程を組んでおられるので、2回にわたる時間が惜しい大事な時間であり、それをいただいては済まんのではないかと思いますが、1カ月ほど前、鈴木貫太郎大将の伝記がでましたので、その記念祝賀会がありました。その席で迫水久常元経済企画庁長官から、あなたが海軍を代表して、鈴木大将に対して何か挨拶して下さいとの依頼があり、6、7分話をしました。

鈴木大将がどういう立派な仕事をし、どんな功績があったか、それは、どんなに偉い人であったかということは、世界各国の歴史に長くその名が残ることでしょうが、私としてはわれわれの教官であり、海軍の人であるという見地から、かつては双眼鏡を手にとって、ブリッジから海を眺めた人である鈴木大将に対して、一言感謝の辞を捧げたいと思ったのでした。そのときの話を取捨選択して、申し述べたいと思う。

鈴木大将は私らの教官であります。日本の昔の海軍の用兵の話をするときにまた出ますが、永い日本の歴史において、鈴木大将のような立場になった方は他にはないと思う。

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