河合楽器、インドネシアで生産拡大 河合社長が就任会見
河合楽器製作所の河合健太郎社長は9日、浜松市で就任記者会見を開いた。会長兼社長だった河合弘隆氏の死去を受け、2月に社長に昇格した。電子ピアノなどを製造するインドネシア工場の生産能力を2027年をメドに最大で2倍に拡大する方針を示した。人口増加が著しい東南アジアに成長の芽を見いだす。
東南アジアでの音楽教育事業を一段と加速し、楽器演奏人口を伸ばすとともに、優良顧客の獲得を狙う。「高品質な楽器や調律サービスを提供し、他社にはないクオリティーが高い教育事業を展開する」(河合社長)
同社は新型コロナウイルス下の巣ごもり需要の反動減や、主要市場の中国の景気低迷などから24年3月期は最終減益を見込む。アップライトピアノの在庫水準も高い状況が続く。河合社長は24年度を「(将来への)種まき、膿(うみ)を出し切る1年」とし、「在庫削減、品質や製品開発力などを高め、市況の好転に備える」とした。
決意表明では「アコースティックピアノの世界で頂点を目指す」とした。世界最高峰のショパン国際ピアノコンクールの優勝者に最高級グランドピアノ「SK-EX」が選ばれることを目標の一つに掲げた。
同社は売上高の約8割を楽器教育事業が占める。次期中期経営計画では収益源を広げるため新サービスを展開する方針を示したが、創業者の河合小市氏の夢でもある「世界一のピアノづくり」の実現が「優先順位は高い」とものづくりへの思いを強調した。
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