見出し画像

『The Strokes』全スタジオアルバム紹介!【音楽】

The strokesはニューヨークマンハッタンの上流階級の出身のボーカルのジュリアン、ギターのニック、ドラムのファブの6歳からの幼馴染がドワイトスクールにて1997年に結成しました。その後ジュリアンが13歳の頃通っていたフランス語の学校で出会ったニコライフレイチェアをベース、LAからNYUに通うためにNYにきたアルバートハモンドJrをバンドに誘い1999年に正式にThe Strokesが結成されます。

当時メンバー全員がジュリアンにギターを演奏してほしいと思っていたところ、ジュリアンはそれを拒否しアルバートに白羽の矢が立った。後にアルバートはインタビューで俺がstrokesのギタープレイヤーになれたことはとてもラッキーだったと語っている。

バンドを結成して直後、彼らはThe Music Buildingで初めてのライブをしたことを皮切りに、数々のライブハウスやバーでショーを行い始めます。現在のマネージャーライアンジェントルズと出会ったのもこの時期です。

ショーをやりながら新曲のデモをレコーディングしつつ 一作目Is This Itにも収録されることとなる "Last Nite," 等々の曲を収録したデモテープを、イギリスの大手インディーレコードレーベルラフトレードに送りますレーベル内で大反響を呼び契約に漕ぎ着けます。

そして2001年1月にイギリスで発売された3曲入りのEP "The Modern Age" が当時ロックの陰りを見せていたイギリスで大反響を呼び同年10月に遂にバンド初となるスタジオアルバム、後に後世に語り継がれる伝説的アルバムis this itが誕生します。

このアルバム何が革新的だったのか、なぜここまで語りつがれるアルバムなのか。

それは当時のロックの時代背景にあります。

90年代初頭ニルヴァーナがカートコヴァーンの死により解散し、

アメリカのグランジロックは陰りを見せていました。

ニルヴァーナの解散と共に出現したオアシスやレディオヘッド、ブラー等々のブリットロックが世界を席巻する中で、これまでアメリカを中心に音楽経済が回っていた中で、 イギリスや日本また他の国々はアメリカの音楽を離れ自国の音楽を中心に考え始めるようになりはじめました。

ソ連が90年代初頭に崩壊し経済でもアメリカを中心として世界が回る中で、 その世界情勢に反発するかのようにブリットロックやJ-Pop等の音楽が形成され、より音楽が国としてのアイデンティティーを持ちはじめます。

そんなアメリカのロックに陰りが見えてきた時に、突如として現れたのがグランジロックの復活を期待させるストロークスというバンドでした。

Is this itの直訳するとこれがそれ?という皮肉めいた題名は当時ガレージロックの再来と噂している世間に対して、お前らが期待してるものはこれか?と投げかけるような痛烈な題名でジャケットが女性の曲線美を描いたジャケットはアメリカでは性的描写として発売禁止になりますが、今でも2000年代のロックとは何と言われればその曲線美が頭に思い浮かぶ非常に印象的なジャケットです。

サウンドは現代のヴェルヴェットアンダーグラウンドと評されるほど、気だるく、でもケミストリーのハマり方が尋常ではないくらい五人の息ががっちりと噛み合っていて、ボーカル、ギター、ベース、ドラムと全ての楽器が均一のバランスで慣らされている点からサウンドは曇っているのに整理されているヴォーカルも含めた5つの音がすべて綺麗に聴き分けられる。こんなのは聴いたことなかった。
言うなれば都会的で角がありすぎる整理整頓された感傷的でありながら気だるいタバコの煙のようなサウンドはこれまで聴いたことがなく革新的でした。

1曲目のis this itの古めかしいスローなテンポとニコライの独特な癖になるベース、ニックとアルバートのグランジサウンドなギター気だるいジュリアンの声と意味深な歌詞は強烈にアルバムのオープニングとして頭に焼き付きます。僕自身ストロークスのライブがこの曲で始まった時鳥肌が止まりませんでした。

5曲目のsomedayの過去を振り返り懐かしみたくなるようなサウンドと歌詞

In many ways, they'll miss the good old days Someday, someday

Yeah, it hurts to say, but I want you to stay Sometimes, sometimes

When we was young, oh man, did we have fun Always, always

Promises, they break before they're made Sometimes, sometimes

イントロとこの曲のMVは思わず過去のストロークスを見ながら自分もこんなメンバーに囲まれながら音楽をしたいという気持ちにさせます。

7. Last Niteの向こう構わず慣らされるグランジサウンド

8. Hard to Explainのサビ

I missed the last bus, I'll take the next train I'll try, but you see, it's hard to explain I say the right thing but act the wrong way I like it right here, but I cannot stay I'm watching TV, forget what I'm told Well, I am too young and they are too old The joke is on you, this place is a zoo You're right, it's tru

とそれに追随するように慣らされるギターからは脳内ドラッグが生み出されます。

9. New York City Copsのニューヨーク市警は全員アホだと綴る歌詞、後に9.11が発令されこの曲はアルバムから差し替えられますが、かなり社会に対しカウンターも入っており、当時ロックは死んだと言われていた時代に新たな風を吹き付けました。

このアルバムは非常にベースのニコライが良い味を出していて彼の出す独特のベース音がストロークスの土台となりリスナーの耳に響くことで楽曲にバランスを生み出します。

そしてとにかくこのアルバムは売れました。

彼ら自身全く予測の出来ない出来事に戸惑いを受けるほど売れました。

イギリスで100万枚以上売り上げ200万枚を世界で売り上げました。

このアルバムは後のバンドにも大きな影響を与え世界中のバンドがこの音楽を真似し、ストロークスを聴いているといえばイケてると思われるほど、かっこよくロックンロールを復活に導いたアルバムです。

大ヒットのデビューから一年、バンド二作目のアルバムRoom on Fireのレコーディングに取り掛かります。

この頃彼らは初来日公演を果たします。チケットが即完売し、急遽会場の規模を大きくしたことは今でも有名な話です。この頃から新曲はもうライブでは披露していました。

そして翌年に発表されたアルバム Room on Fire。

この作品のプロデューサーはレディオヘッドのプロデュースでも知られNigel Godrichがプロデューサーを担当していましたが、ジュリアンと意見が中々合わず結局一作目と同様ゴードンラファエルがプロデュースを担当。

この頃からジュリアンの独裁体制は少しずつ影を見せ始めます。

二作目は一作目ほどの評価はアルバム単体では受けませんでしたが、ゴールドアルバムを獲得し、バンドも数々の有名雑誌の表紙を飾るようになります。

またアメリカの有名なTV番組にも出演したりと人気は衰えを知りません。

アルバムに収録されるレプティリアという曲は後にバンドを代表する曲となり、ギター経験者であれば病みつきになるあのアルバートの延々に繰り返されるリフ、ニコライの天に登るようなベース、ニックのソロは一度聴いたらもう病みつきです。

1. What Ever Happened?のアルバムの開幕でジュリアンの叫ぶ

I wanna be forgotten And I don't wanna be reminded You say, "Please, don't make this harder" No, I won't yetと

楽器のスタートダッシュは待ってましたーーーーーーーーーーーーーーー!

と思うほど一作目から待っていたファンには待望のアルバムの開幕です。

今作もバンド全体のバランスは取れていながらも、前作よりも丸くなり、それでいて冒険的サウンドでありながら 馴染みがいい。聴いているだけで自分がかっこよくなった気分になれます。

感傷的でありながら音は前作に比べ厚くなり、進化したストロークスというよりはストロークス第二形態という言葉の方があう作品です。

丸みを帯びた近未来シンセサウンドのようなギターで始まる12:51は短くも精神と時の部屋にいるかのような体感時間を感じれる曲です。

6. Between Love and Hateのチルだけどダンシングなメロディーと

楽器の音の大きさがフレーズによって変わっていく、遊園地の乗り物のような曲です。

7. Meet Me in the Bathroomの天てれ天テレンてんてーというリフは 複雑な構成音なのに自然に頭に入ってくる心地よいサウンドでファブの早いテンポに対し、ジュリアンのスローなテンポが良い対比となり曲に温かみを生み出します。

皆大好き8. Under Controlはこのアルバムの中で一番ウォームでメンバー全員の音が濃密にぎゅっと詰まっています。

秋のような香りと冬のような寂しさを兼ね備えた曲です。

もうそれはアンドーコントロールアンダーコントロールです。

9. The Way It Is と11. I Can’t Win

はただただかっこいい。

このアルバムの中で一番かっこいい。個人的に

この頃までのストロークスが一番好きというファンも多く、このアルバムを機に彼らのサウンドとメンバーの仲も変わっていきます。

二作目から3年の月日を経て発表された

≪地球に降り立ったエイリアンの着眼点≫がテーマという First Impressions of Eartの収録されている曲はそのメンバーの確執をそのままサウンドにした曲が多くニコライやアルバートのギターは怒りに満ちた迫力のあるものに変わっていきます。

言うなればダークサイドに落ちたアナキンスカイウォーカーのようなアルバムです。

これまでの音の丸みはなく、バランスというよりはそれぞれのメンバーがそれぞれの音を追求し自分のバンドのアンサンブルというよりはメンバー個々が自分の音を個々に追求しそれを纏めている印象です。

これはジュリアンの独裁体制に不満をもったメンバーの不仲やアルバートのヘロイン中毒が関係していて、サウンドもジュリアンの後に発表されるソロアルバムに近いものになっていきます。

特にギターの自己主張が非常に激しく、ニコライのベースは今作は影を潜めます。

ギターリストであればこのアルバムの曲は好きな方が多いのではないでしょうか。

なんせ弾いていて楽しい曲が多いです。

1. You Only Live Onceは僕が初めてストロークスを知ったきっかけの曲で、

密閉空間で演奏するバンドを黒い液体が覆っていく姿は小学生の僕には衝撃的でとてもかっこよかったことを覚えています。

バンドの初々しさも消え、オーラと風格を纏った彼らの立居振る舞いと最初のドラムとリフは超かっこいいです。

ジュリアンの癖のある歌い方も増し、ギターのリフも非常に印象的です。

2. Juicebox 3. Heart in a Cage 12. Ize of the World の怒りに満ちたベースとギター、ジュリアンの叫び、細かいファブのドラムそれらが個々に曲を引っ張り宇宙へ連れて行かれるような感覚です。

ギターを始める前はこの曲の良さは一切わからなかったですが、楽器を初めてみるとこの曲の持つ凶暴性がひしひしと伝わり好きに慣れました。

特に12. Ize of the Worldのソロは宇宙戦艦から地球を見下ろす感覚に近いものを感じることができます。

4曲目のrazorbladeは二作目のサウンドに一番近く、アルバムの中で一番ポップなサウンドはこのアルバムの凶暴さを和らげます。

7.Ask Me Anytihng 冒頭から「キーボードみたいな音を鳴らすギター」が聴け、ロックンロールオーケストレーションのようなこもった音の古いオルガンぽさも出せてます。

全体的にみると好みが別れる作品で、このアルバムを好きな人もアルバムの中の曲に好き嫌いが発生するアルバムだとは思いますが、個々の楽器スキルはストロークスの中で一番出ていて、強烈に頭を叩くような凶暴なサウンドは物後の表裏でいう裏の部分を照らす、そんなアルバムです。

このアルバムを発表し、バンドは空中分解寸前になるほど険悪になっていきます。

各メンバーソロ活動を意識しだし、バンドに自分をアイディアを出し惜しみ始めたり、ストロークスとしてみんなでアレンジした楽曲を集めてニックはソロをやりたがろうとしたことがあったりお金のメンバーでもジュリアンの取り分が均等なことに対しておかしいと言ってみたり

ジュリアンはこの時点でのバンドの人間関係の難しさをこう語っている。

「ぼくには時々ちょっとしんどいんだよね。っていうのも、人ってその隙さえあったら、平気で自分がトップに立つためには後ろから自分のことを刺しかねないんだなってつくづく思うからね。もちろん、これは冗談だけど。でも、この友達ごっこみたいのがぼくにはやりきれないんだよね。インタビューをやったらやったで、みんな、ぼくのことを後ろ指差すんだからね。みんなはなかよしこよしでぼくが全部悪いことになってるんだよ。今度のアルバムだって『Frienememies』(friend とenemyをかけている)と名づけるべきだったと思うくらいだよ」

そしてジュリアンもソロ活動に注力し始め、音沙汰のない5年の月日が経ちました。

そして2011年3月に発表された四作目のアルバムangles

このアルバムは非常に9.11前に発売されたことを非常に印象に残っています。

当時日本が真っ暗だった時にこのアルバムを聴いていたことを今でも思い出せます。

このアルバムはこれまでのストロークスらしさが一切なくなり、正直2曲目のunder cover以外殆ど好きになれないというのが個人的な感想です。

このアルバムはジュリアンと他メンバーとの間で、E-mailによるやり取りを行いながら作られた作品であるそうだ。この作品と次の作品はジュリアンのソロ活動の音作りをずるずるとバンドに持ち込んでしまってエレクトリカルで80年代を意識しているという感覚はわかるのだが、どれも同じように聞こえてしまうのも否めない。

とは言っても2曲目のアンカバはストロークスの中でも一番的にかっこいいです。

ギターのリフ、ソロ、ファブの安定感のあるドラム、

ジュリアンの振る舞い。この曲がシングルリリースされた時

僕らのストロークスが帰ってきたと期待が止まりませんでした。

それだけに他の曲がかなり偏ったエレクトリカルでデジタルなサウンドだったので、がっかりしたことを覚えています。

この年に日本に5年ぶりに来日しサマーソニックのヘッドライナーを努めます。

当時高校生だった僕は最前列でみていたのですが、

これを超えるライブはこれまでなかったです。

全てが迫力があり時間よ過ぎないでくれとずっと願っていました。

一切マイクパフォーマンスもなく淡々と曲を演奏し続ける彼らの演奏に度肝を抜かれました。

このアルバム発表後もメンバーの関係性は変わらず、メンバー各がソロ活動を初め、2年後に発表されたアルバムcomedaown machineでも殆どメンバー全員がスタジオに集まることなく顔を合わせずに制作された作品は前作同様にかなり音色に偏りがあり、殆どジュリアンのソロアルバムをバンドで奏でたサウンドは気持ちが入っておらず、唯一2曲目のall the timeはストロークスらしいロックンロールが奏でられているが殆どはデジタルエレクトリックサウンドで、これがストロークスの進んでいく道なのかと思ったファンも多いはずです。

1.Tap Outは非常に内向きのエレクトリックロックで

楽器全体とジュリアンの声も全てが内向きでアルバムの開幕としてはあまり期待できるものではありません。

3.One Way Triggerはメロディーが印象的ですが、その他に特に印象に残るものはなく、ジュリアンの高い声とギターソロは見せ場を作りますが、その他印象に残るものはありません。

この曲以外もかなり内向きで、アングルズからの変化を望んでいた分落胆の方が大きかったのが正直な印象です。

逆にアングルズの音色を好きな方はこのアルバムはジュリアンのソロの考えが大きく反映されているので、好きなのではないかと思います。

このアルバム発表後、メンバー個人個人が完全にソロプロジェクトに燃焼し始めます。

ジュリアンはボイズ、ニック、ニコライアルバートも個人でバンドを持ち、

バンドでは再現できない自分の追求する音楽を個人で表現するために

ソロでアルバムを制作しツアーを回ることで、バンドとして音楽を表現する意義を再定義しストロークスのメンバーとしてのアイデンティティを再認識することで

彼らの不仲も徐々になくなりバンドとして最集結するようになります。

2016年、4曲入りのEP『フューチャー・プレゼント・パスト』(Future Present Past)を発表

永らくライブやツアーを行っていなかった彼らがnewyorkのガバナーボールフェスに参加したりとバンドしての復調の兆しを見せ始めます。

そして前作から7年の月日を経て2020年に六作目のアルバムthe new abnormalを遂に発表します。

このアルバムの詳しいアルバムレビューは別動画で行っていますので、

概要欄から飛んで良かったらみてみて下さい。

このアルバムで遂にバンドとしてメンバー全員の意思がくっきり現れているものになり、メンバー全員の奏でる一音一音は初期の彼らのアンサンブルに近くそれでいて、これまで全てのストロークスの経験を詰め込んだサウンドは非常に新鮮で、何よりもメンバー全員が楽しんで演奏していることが曲の裏側から伝わります。

デビューから20年アメリカのロックを牽引し続ける彼らのサウンドは多くのミュージシャンに影響を与えガレージロックの救世主から2000年代ロックの王様になった今でも最前線でデビュー当時よりもかっこよく音楽の彼らのこれからの向かう先を楽しみに待っていたいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?