朝鮮人追悼碑訴訟 「控訴せず話し合いを」 守る会、群馬県に要請

 高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人追悼碑の設置期間の更新をめぐる訴訟で、前橋地裁が県の設置不許可処分を取り消したことを受け、碑を設置した市民団体「追悼碑を守る会」と県は21日、意見交換を行った。守る会側は県に控訴しないよう求め、碑の存続に向けて大沢正明知事と話し合いたい考えを伝えた。

 会合は守る会側から持ちかけて実現した。記者団には非公開で行われ、守る会側は弁護団長の角田義一氏ら7人が出席。県側は反町敦副知事や県土整備部の中島聡部長らが出席した。

 守る会側は県側に控訴しないよう求め、大沢知事の判断に委ねられる碑の設置期間の更新について「話し合いをして決めてほしい」などと要請。県が控訴しなければ、単独で控訴する考えはないと強調し、大沢知事との会談の場を設けるよう求めたという。

 終了後に会見した守る会側の角田氏は「追悼碑は、現代の『上野三碑(こうずけさんぴ)』だ。知事はそれを撤去するのか。追悼碑はどうしても守りたい」と語気を強めた。

 一方、県土整備部の中島部長は記者団に、「(裁判では)県の主張が受け入れられなかった部分もある。控訴するかどうかは、慎重に検討しているところだ」と話し、大沢知事と守る会側との会談についても「検討していきたい」と言うにとどめた。

 前橋地裁は、碑の前での追悼式を「政治的行事」と認定し、守る会側は「政治的、宗教的行事および管理を行わない」とする設置許可条件に違反したと判断。

 その一方で、守る会側が示した代替案について県は十分に検討した形跡がなく、「裁量権を逸脱した」として不許可処分を取り消した。

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