「文句なしの成果」 はやぶさ2、小惑星出発へJAXA会見

探査機「はやぶさ2」の小惑星出発計画について説明するJAXAの津田雄一プロジェクトマネージャ=12日、相模原市中央区(草下健夫撮影)
探査機「はやぶさ2」の小惑星出発計画について説明するJAXAの津田雄一プロジェクトマネージャ=12日、相模原市中央区(草下健夫撮影)

 「文句なしの成果が得られて満足」「自然は本当に面白い」-。小惑星「リュウグウ」を13日に出発する探査機「はやぶさ2」のチームは12日、管制室がある相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)で会見し、1年5カ月に及んだ探査への思いを語った。

 チームは小惑星での物質採取や小型ロボットの投下、上空からの観測など全ての探査活動を終えたことを確認し、出発を決定した。これまで11~12月に出発するとしてきたが、期間中の早い時期を選んだのは、機体を加速するイオンエンジンの試運転を出発後に長く行えるメリットがあるためという。

 津田雄一プロジェクトマネージャはリュウグウ滞在を振り返り「到着時は美しい星だと思ったが、後に戦う相手になり胸を借りる思いで挑戦した。結果として、当初の想定を大幅に超える探査技術を得られた」と、充実をうかがわせる表情を見せた。吉川真准教授も「短い期間だが探査が進み、随分と知識の量が増えた。未知の世界が広がるこの太陽系を、今後もどんどん調べたい」と話した。

 出発は13日午前10時5分。姿勢制御用エンジンを噴射し、通常観測用の高度20キロの位置から上昇する。その後は18日まで「お別れ観測」と称し、遠ざかるリュウグウの撮影を続ける。姿勢を変更し、20日にイオンエンジンの試運転に入ると、リュウグウはカメラの視界から外れて見えなくなってしまう。来月3日以降にイオンエンジンの連続運転に入り一路、地球を目指す。

 久保田孝教授は「はやぶさ2は例えると駅伝で、往路は完璧だった。復路はイオンエンジンをきちんと点火し、採取した物質を収めたカプセルを地球に落とすまで、チーム一丸となって進めたい」と気を引き締めた。

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