「ヨーイヨイ」の声こだま 下矢作に盆の活気戻る 3年ぶり灯篭七夕祭り

▲ 3年ぶりに下矢作地区を練り歩いた山車

 陸前高田市矢作町の下矢作灯篭七夕祭りは13日、3年ぶりに開かれた。東日本大震災後復活した地区の伝統行事で、新型コロナウイルス禍で中止となった2年間の思いを乗せ、「ヨーイヨイ」のかけ声とともに華やかな山車を運行。盆の下矢作を彩り、活気にあふれた。(高橋 信)

 

 祭りは下矢作灯篭七夕伝承会(藤倉泰治会長)が主催。例年は午前中に山車の練り歩きを始めるが、今年は感染症対策として運行距離を従来の半分に短縮したため、午後2時ごろ拠点の地区コミュニティセンターを出発。子どもから高齢者までが引き手を担った。
 山車は長さ約4・6㍍、幅約2・7㍍、高さ約4・3㍍の1基。両脇の絵にもこだわった。震災後、同地区への支援を続け、一昨年には七夕囃子メンバー用に法被20着を贈った鳥取県の飲食業・ぎんりんグループと、新たに購入した大太鼓1張を安価で製造・提供してくれた長野県の太鼓工房に感謝の気持ちを伝えようと、一つは鳥取・白兎海岸を舞台にした神話「因幡の白兎」、もう一方は長野県北部で武田信玄と上杉謙信が繰り広げた「川中島の戦い」をモチーフに描いた。
 前回に続いてミニ七夕山車1基も制作。2基の山車や地元の小学生が作った灯篭に、矢作町の戸数と同じ約540のろうそくをともした。
 山車の絵を手掛けた下矢作地区コミュニティ推進協議会の佐々木倉雄事務局長(78)は「ぎんりんグループなどへの感謝を伝えようという思いを込めて描いた。支援してくれた方々への恩返しにつながればいい」と期待した。
 祭りは下矢作の夏を彩る風物詩として親しまれていたが、住民減などを背景に長らく休止。震災後に復活への機運が高まり、平成27年に約50年ぶりに再開し、令和元年まで毎年開かれた。
 藤倉会長(72)は「鎮魂と伝承をテーマに続けてきたが、3年ぶりとなった今年は震災支援への感謝、コロナ収束も願う祭りとなった。ぎんりんグループや地区のみんなの絆を再確認する機会にもしたい」と話した。